学生時代は大学近くのアパートで一人暮らしをしていた。
一階だったので、入居前は上の階の人の生活音なんかを心配していたが、いざ入居してみると上の階の人が静かな人なのか、はたまたアパートの造りが良いのか、足音、テレビの音、音楽、話し声なんかは全く聞こえてこなかった。
ただ一つ気になったのが、2週間から1ヶ月に1回くらいのペースで聞こえる「落下音」だった。
手に握れるくらいのサイズの何かを、人の腰くらいの高さから床に落とす「カタンッ」という音が時々聞こえてきた。
でもまぁ他は静かだったし、物を落とすのは仕方ないな、と思って大して気には留めていなかった。
ある日、アパートの大家さんに会ったときにその話をすると、その部屋には誰も住んでいないと言う。
落下音は確かにするのでおかしいと思い、大家さんと一緒にその部屋を確認しに行った。
確かに人は住んでいなかったし、家具類もなく人が生活している様子もなかった。
ただ、床に大量の小物、ライター、リモコン、スプーン・・・等々、大量の小物が床に転がっていた。