私が3歳前後の頃にかけての体験です。
一部ぼかした所はありますが、基本的に脚色はしてません。
当時私の家では幼かった私と両親がひとつの部屋で布団を並べて寝ていました。
そこは和室で寝るときに足を向ける側に隣室へと続く襖、そして頭の側にはタンスがふたつ壁にくくりつけてありました。
ふたつのタンスの間には7~8cmほどの隙間があったのですが、夜になるとそこから20cmほどの人形が出てくるのです。
人形は布団の周りをぐるぐると回っては時折寝ている私たちの顔を覗き込むように枕元に近づいてきます。
ちなみに両方の足がくっついたタイプの人形なので歩くというよりはピョコピョコと跳ぶ感じです。
しばらくそれを繰り返した後その人形は決まって部屋の同じ場所で立ち止まりじっとしているのです。
やがてまた歩きだすとタンスの隙間に戻っていきます。
その人形は私にしか見えないようでした。
母を起こしてそこを指し示しても首を傾げていましたから。
ただ、私は一回きりでなく何度もそれを見ています。
トイレに起きたときにすでに周りを歩いていたり、いつもの場所に佇んでいたりすることもありました。
その後、私たち一家は引っ越してしまい私はそれを見ることも二度とありませんでしたが、今もその家には親戚筋の人間が住んでいます。
後のリフォームでタンスは取り払われていまいましたが、ひょっとすると今も人形は歩いているのかも知れません。
「人形が佇む場所にはなにかがあったのか?」
それが今でも心に引っかかります。