リア小時代の先生の話。
先生が引率として行った山での宿泊研修で、夕食の時間にある問題が起こったという。
班ごとに別れた生徒達が、バーベキューやカレーなどを自らが火をおこし、調理をして食べるという手筈になっていたのだが、どの班も一様に「火が点かない」と口を揃えて先生に訴えてくる。
火起こしに慣れたプロの指導員ですら、どんなに木を擦り合わせても煙も出ない有様だったという。
天気は乾燥気味の晴れ、風もないのに、何故かまったく火が起きない・・・。
ライターやマッチなどの火は出るのだが、いざそれを薪や枯れ葉に燃え移らせても、みるみるうちに消えてしまう。
これはどうしたことだ・・・と、先生達は頭を捻っていると、指導員の一人が「あっ!!」と、何か思い出したように叫ぶと、やおら山に分け入っていった。
何事かと見守ること数十分、体中に泥やら枯れ葉を付着させた指導員がフラフラになって戻ってきて、「どうもスイマセン。山頂の神さんに火を起こす許可を貰い忘れてました」と言ったという。
その後、問題なく火は起こり、生徒達はようやく食事にありつくことができたという。