爺様に聞いた話。
畑仕事を終えた夕暮れ時、はやく帰ろうと、普段は日中しか通らない獣道みたいなところを歩いていた。
すると、道脇に妙なものがいたそうだ。
それは下手くそな人型の粘土細工のような姿をしており、何をするでもなくボンヤリと立っていたそうだ。
爺様が担いでいた鍬をソイツに向かって突きつけ、「なにもんだっ!!」と一喝したところ、そいつは急に輪郭を崩し、ドサドサドサッとその場に崩れてしまった。
近づいてみると、そこにはこんもりと腐葉土の小山が出来ており、その所々から獣の骨が覗いていたそうな。
「山で死んだ獣が、腐れ堕ちた肉の代わりに、その辺のモンをかき集めて纏っていたんだろうな」とは爺様の談。
何故人型なのか、いったい何のために現れたかのかはわからんそうな。