他人からしたら「だから?」っていうかんじですが・・・。
祖母がまだ生きてるときに、「私も先長くないから、何か買ってあげる。なんでも言ってみなさい」といった。
俺は、「じゃあ、新しい自転車がほしい」といった。
数日後、俺は祖母と自転車を買いに行った。
祖母は俺の喜ぶ顔を見てにっこり笑った。
しかし祖母は一週間後、昔からの持病で亡くなった。
俺はその自転車を祖母のように大事にした。
一年後の夏、祖母の買ってくれた自転車で峠を下っていた。
左側は絶壁だ。
あるカーブに差し掛かったところで、そのカーブがとても急なことに気づき、ブレーキをかけたが、遅かった。
時速60キロのまま落車、転がりながら、「このままだとガードレールを乗り越えて崖から落ちる。落ちたら怪我じゃすまない」と思ったがどうしようもない。
俺もここで死ぬのか・・・。
そしたらいきなり祖母の顔がみえた。
「あんたはまだ来ちゃだめ」
そしたらガードレールにあたる直前に、俺の自転車が俺とガードレールの間に入り、俺が落ちるのを防いでくれた。
しかし、その拍子で自転車は崖から落ちた。
あとで自転車を下から引き上げると、フレームは折れ、元型をとどめてないほど大破していた。
俺は骨折と擦り傷で済んだ。
あの時自転車が間に入ってなかったら俺は死んでた。
祖母が俺を助けてくれたんだ、と俺は思った。
俺は自転車と祖母に感謝しながら、自転車を捨てた。