車通勤でいつも通るトンネルがある。
幽霊が出ると評判のトンネルだけど、そこ通らなきゃ仕事にも行けないし、家にも帰れない唯一の一本道。
ある日、残業で遅くなった。
暗い夜の道は不気味で急いで帰ろうと少し飛ばしていた。
いつものトンネル入って走っていると、なんだか見える景色がいつもと違う。
少しスピードを落として何が違うのか考えながら走っていたら、トンネルの左右の壁に何か黒い影がある。
しかも一定の距離を置いてずっと向こうまで続いてる。
大きさは高かったり低かったり丸かったり細かったりと一定ではない。
「え?何これ?」って思って、その時はトンネル出口まで見える影をただ不思議に思って通り過ぎた。
次の日、また残業で遅くなって同じトンネルを走った。
何も見えなかったし、きっと疲れて幻覚か錯覚でも見たのだろうと思ったのだけど、よく見るとトンネルの壁には一定の距離で緊急電話が設置してあり、それに合わせて『緊急電話』と書いた明るく照らされた看板がある。
同じように消火栓が一定の距離で赤いランプを放ちながら設置されている。
でも昨日。
私は一切の看板を見なかったし、電話も消火栓も見ていない。
そこではじめてぞっとしてしまった・・・。
確実にそこに何かがいたから、看板も緊急電話も消火栓も見えなかった?って。
今も通勤で通らざるおえない。
何を見ても何を聞いても気のせい!とやり過ごしている。