※このお話には「霊感メンヘラ前編」があります
俺はずっと苦笑いしてたんだけど、まゆみの表情見ると真っ青になって真顔で奈津子を見つめてた。
この瞬間、「あ、これマジなパターンだ。アカンやつや」と思った。
とりあえずここから出ないと!
俺は引っ張られてる左手でそのまま奈津子の右腕を掴んで無理矢理立たせた。
奈津子:「いやぁぁ!いきたくない!そっちいきたくない!!!いるから!あぁぁぁああああ!!!」
俺:「武史!!ふざけんの止めて手ぇかせ!!」
武史:「え?どういう状況?」
俺:「お前奈津子の左腕もて!ひきずってくぞ!」
奈津子は足を突っ張って抵抗したけど、男二人の力で無理矢理出口に歩いてく。
俺:「ほら!腕くんでっから!!怖くないから!」
奈津子:「あ!きた!きたぁぁぁぁぁ!!」
奈津子:「ヴあっ・・・」
奈津子は白目を向くと、顔を上に向けて気を失った。
俺たちは急いで奈津子をひきずって学校から出た。
学校から出ると、泣いてはいるが、奈津子は正気を取り戻した。
奈津子:「怖かった・・・本当にいたんだもん・・・」
俺・武史:「ゼェ、ゼェ・・・」
俺:「とにかく帰ろう」
誰からともなく俺たちは無言で奈津子の家に向って歩き出した。
もう大丈夫だ。
安心すると、最後尾の俺の後ろから足音が聞こえた。
もしかして、ついて来た・・・?
「ざっ・・・ざっ・・・ざっ・・・」
絶対に振り向いちゃ駄目だ!
そう直感すると、あろう事か奈津子が振り向こうとしていた。
俺:「振り向くな。」
奈津子(ホラー映画の様にゆっくり顔を後ろにまわそうとする)
俺:「振り向くなってっつってんだろ!!!!」
女の子に怒鳴ったことなんてなかったけど、思わず怒鳴ると奈津子は振り向きかけていた首を急いで前に向きなおした。
奈津子の家に着いてから詳しく聞くと、奈津子をひきずってる時に、子供の霊が奈津子に向ってきたらしい。
そして奈津子と重なった瞬間、一瞬意識が飛んだのだ・・・と。
一通り話を聞くと皆一斉に睡魔が襲ってきたようで、奈津子の部屋で雑魚寝して朝を迎えた。
すると誰かに見られている気配で俺だけ目が覚めた。
3時間くらいしか寝ていないのに。
その瞬間、奈津子の家に「ドォン!!ドォン!!」ってすごい音が響いて。
本当にすごい力で壁をぶっ叩いてるような音。
・・・なのに皆起きない。
俺は怖くなって布団に頭を突っ込んで指で耳栓して無理矢理寝た。
昼くらいに起きると皆は既に起きてて、凄い音は止んでいた。
あの音は何だったんだろう?
んでまぁこれで終わりじゃない。
次の日もあろうことか、アホな俺たちは昨日の肝試しの件で盛り上がってしまい、幽霊が出るっていうカラオケ店に行く事にした。
まぁ若気のいたりといいますか。
んで受付を済ませて、誰も客がいないのに幽霊が出る部屋にドンピシャで通された。
受付の人狙ったんじゃないか?って思ったね。
とりあえず普通にカラオケしてると、噂通りにまず電球がチカチカしだした。
「本当にチカチカするんだね・・・」
皆一斉に暗い顔になりつつ、料金分は歌いたいという気持ちがあったから、とりあえず無理矢理カラオケを楽しんでいた。
すると武史と奈津子が同じタイミングで一斉にビックリした顔でのけぞった。
打ち合わせしたんじゃないか?って疑いたくなる様に同じタイミングで。
武史・奈津子:「っ!!!!!!!」
俺・まゆみ:「・・・えっ?」
武史:「え!?奈津子ちゃん、今のそう?うわ俺初めて見たわ・・・」
奈津子「うん・・・今いたね・・・」
どうやら黒い影が部屋の窓から「にょきっ」って感じで一瞬除いたらしい。
それからというもの、俺が歌ってる時とか、曲選んでるときとか、奈津子はずっと俺の後ろを真顔で見てた。
正直勘弁してほしかった。
俺:「あのさ、なんかいんの?」
奈津子:「なんでもない。」
ずっとこの調子で見てきた。
カラオケ終わってから奈津子に再度確認すると、俺のうしろにずっと黒い影が立っていて気になっていたとの事。
そのことがショックだったせいなのか、幽霊のいたずらかは分からないけど、車にみんなを乗せ、カラオケから出た直後の信号で赤信号なのに・・・気がつくと俺は無意識に普通に右折しようとしてアクセル全開で突っ込んでいた。
クラクションを鳴らされて我にかえって、思いっきりブレーキを踏んだ。
ぶつかりそうになった車の兄ちゃんに「気いつけろやボケが!!」って怒鳴られた。
その後は何事もなく、皆家まで送り届ける事ができた。
本当に事故らなくてよかった。
今は呪われたなんて事もなく、皆普通に過ごしています。
奈津子はメンヘラのままだけど。
事実をそのまま書いたからオチがなくて申し訳ない。