母方の祖母の母、つまり私の曾祖母は霊感のある人だったそうです。
私が幼稚園の頃に亡くなったんだけれど、そのときには盲目だったのに曾孫たちはそのことに気づかないほど、なんでもできる人でした。
毛糸のパンツやももひきを編んで目明きの曾孫たちが前後ろ間違えない様に印をつけてくれたり、忙しいときに預けられると、みそのおにぎりをにぎってくれたり・・・。
そんな曾祖母のことを娘である私の祖母が語ってくれたときの話です。
祖母の妹は幼いころに病気で亡くなったそうです。
医者にも見離され、曾祖母は仏壇のまえに座ってひたすら念仏を唱えていたそうです。
狂ったように念仏を唱えつづけていた曾祖母が、いきなりがくりと肩を落とし「ああ~~」と叫び声をあげて泣きはじめました。
仏壇のろうそくの火がふっと消えました。
祖母が愕いて妹を見ると、かくり、と息をひきとった瞬間だったそうです。
そして、祖母も結婚し子どもも生まれ・・・。
祖父はからだの弱い人でした。
もう助からないという病気で(今なら助かるのでしょうが)入院していました。
そんなある夜、ガラリ、と玄関の開く音が聞こえたそうです。
すると曾祖母が顔をあげ、「おお、タツが帰ってきた」と言ったそうです。
私の父と母が玄関まで出たそうですが、玄関も開いておらず、誰いませんでした。
いったいなんだったんだろう?
そう思って数分後、病院から祖父が亡くなったという知らせが・・・。
『タツ』というのは祖父の名前です。
私の生まれる前の話で、私は祖父を知りません。
この話をすると、両親は「あの時は不思議だったなぁ。確かに玄関が開いた音が聞こえたのになぁ」と首を傾げます。