これは俺が大学生の頃の体験談。
車の免許取立てでドライブに夢中だった。
N県N市の自宅から海をドライブして、当時「痴女が出た」と噂の耐えない広い田んぼ(某稲作地帯)を通り過ぎ、市内で買い物をして、帰宅しようとした頃はもう夕暮れだった。
市内から自宅に抜ける近道の農道を走ってるとき、この道は某稲作地帯と似てるなあと思いながら、突然、車の前を何かが横切った。
俺はびっくりして急ブレーキを踏んだ。
「ふぅー」っと深呼吸して顔上げたんだ。
そしたら、なんと俺の車は数十キロ離れた夕暮れの某稲作地帯にいたんだ。
たった今まで自宅近くの農道を走っていたのに!?
それどころかいつのまにか農道が一本になっていて・・・。
俺はパニックになるのを必死に我慢して周囲を観察した。
目の前には大きな木が一本だけ立っていて、周りはどこまでも一面田んぼ。
車をUターンすることもできない。
後ろは地平まで続くかのような一本道の農道。
そして、その行き止まりにある木がとても不吉な気がした。。。
よく見ると木の幹にグルグルと何か絡み付いてる。
それはなんとなくペラペラになった女性の生皮ようだった。
顔らしき?部分も真っ黒な髪の毛に隠されて良く見えない。
動けない俺の前でその皮がペリペリと向けていくんだ。
田園の風に吹かれて手みたいな部分が変な方向に曲がる。
女の生皮が木に張り付いててそれが動き出す・・・?
やばい!
見てはいけない!
目をそらし、車で一本道だから仕方ないバックギアに入れて猛バックして急速に離れた。。
どう走ったか覚えてないけど、本当に長い長い一本道だった気がする。
そしてなんとか県道にたどり着けた。
後日談。
あの噂の痴女、捕まった。(保護された)
どうも気が触れてたらしい。
何日もあそこから出れなかったみたい。
「あんな見晴らしのいいところ、迷うか?普通。」と友人は言う。
あの恐ろしい稲作地帯・・・まだ俺の体験は友人に話してなかったけど何か気になった。
「木が、木が・・・って呟いてるんだって。わからんよなあ。」
俺は車があったから助かったんだ。。。
そう思った。
あれが、くねくねとかいうものと同じなのかな?
いまだに夜より夕方が怖い。