夜の高速道路や峠道には様々な都市伝説が存在する。
特に、老婆が登場する噂話は様々なパターンがあり、思わず馬鹿らしくなるような話も少なくない。
今回ご紹介するドリブル婆も、そんな都市伝説の一つである。
言うまでもなくこの話は、100キロ婆の亜種であり、恐らく作り話なのだが、その奇抜な内容には注目していただきたい。
ある男性はバイクが趣味だった。
自慢の愛車に跨って疾走していると、辛いことも悲しいことも忘れることが出来る。
特に交通量の少ない深夜は、彼にとってはバイクを楽しむ上で最適な時間帯だった。
さて、ある夜もいつものようにバイクに乗って、高速道路を走っていると、ヘルメット越しになにやら「ダンダン」という男が聞こえてくる。
不審に思って周囲を見渡し、その際に男性は恐ろしいものを目撃することになる。
なんと、自分のバイクに併走しながらバスケットボールをドリブルしている老婆がいるではないか!?
しばらく呆然としつつも、男性は事故にだけは気をつけて老婆を観察してみることにした。
老婆は真っ直ぐ前を見つめながら、延々ドリブルを続けている。
男性が、どうやったらこの危機を乗り越えられるか思案していると、ふと老婆が彼の方を向いて手にしたボールをパスするように投げてきた。
咄嗟に男性も思わずボールを両手でキャッチしてしまったのが運の尽き。
バイクはバランスを崩してしまい、そのまま転倒。
男性も地面に叩きつけられてしまったそうだ。