近所に首なしの地蔵を数体祀った祠があります。
おそらく水子供養とは思うのですが、明らかに異常で地蔵の前掛けには何かびっしと文字が書かれており、いつもそこだけ異様に暗いのです。
私はそこを通るのが気持ち悪く、なるべく避けて通るようにしてました。(人通りの少ない閑静な住宅地にあるという事もあり・・・)
ある日電車に間に合わず、近道である、祠のある道を通らねばいけなくなりました。
確か夕方だったと思います。
祠を通る時はなるべく見ない様に努めているのですが、ふと気配がして、よせばいいのに振り返ってしまいました。
そこには・・・。
髪の長い女性が虚ろに佇んでいました。
明らかに人間ではありません。
私は全速力でその場を走り去りました。
恐怖でいっぱいだったのに、何故か切ないものが胸につっかえていました。
もしかすると・・・胎児を無下にしてしまった母親が、無念のあまり、あそこに佇んでいたのではないか?
水子供養とは母親の無念を鎮める為にも存在しているのではないか?
電車に乗り、落ち着いた頭で考えると、切なさがより増していきました。
水子の祠に、たまに妊婦さんが参拝しているのを見かけますが・・・。
無念を抱いた母親の霊に気を付けて欲しいと願うばかりです。