双眼鏡で見えたその人影

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

以前大学時代に一人で特に目的もなく車であちこち遠出してた時の話。

高速を走っててふと無名の出口の看板が目に入ったので突発的にそこで降りようとハンドルを切った。

その時はずっとしばらく街や住宅地からも離れた山中でSAやPAも長い間なくて人気も全然なく自分の車以外前にも後ろもにもしばらく車はなかった。
でも自然の景色は良かったので気分が良かったのか、そこの出口と降りようと思い立って看板に従って少し進むと、高速内なのに道路のすぐ両脇に民家が何軒かある。

高速なのに民家?と驚いて他に車も全くなかったのでゆっくりのろのろと周囲を見渡しながら走る。

どうやらそこは1つの集落みたいで数十件の家やよくわからない建物が密集してる場所みたいだった。
そう確認してるとすぐ目の前の脇が故障車のためみたいな道路の横が膨らんでるスペースが見えた。

でその膨らんでるスペースになんと飲み物の自販機も見えた。
車内には双眼鏡も置いてたので、俺はそのスペースに車を入れてハザードランプ付けて飲み物買うふりして(実際に買ったが)少しだけすぐ広報の民家群の方を双眼鏡で覗いてみようと思った。
でまず自販機(ありふれたメーカーのだった)でホットココアのボタンを押したら炭酸レモンのジュースがガコン!と出てきた。
それまで不思議な好奇心で一杯だったがケチな俺はその違う飲み物が出てきたのでイラっときてどうにか文句付けて取り替えさせたいと思った。

それで自販機の回りを調べて連絡先を探してたら電話番号とかはなくて代わりに住所が載ってた。
でそれを調べるとどうやらその住所はまさにここの辺りの住所らしく、回りをキョロキョロ見てると、すぐそこの民家と建物の庭先?に自販機と同じメーカーの印刷がデカく載ってるトラックを見つけた。

あれがこの自販機の補充をしているトラックと業者だ!と思ってあまり距離も離れてなかったのでムカついてた俺は歩いて文句を言いにいこうとした。

するとふとそっちの民家群の方に視線を感じて見てみたが、誰の姿も見つからなかった。

でもその民家群の中で一軒だけ少し高台になってる場所にあるひときわ大きな四角い家(何回建てかわからないが高さ10メートルくらい?)が目に入り気になったので持ってた双眼鏡で何気なく覗いてみた。

するとその屋上に人影が1つ立ってた。
すぐ目の前にいるズームのままで足元から上に双眼鏡をパンしていくと、胸元辺りで急にその人が傾いて双眼鏡の下に消えた。

驚いて双眼鏡を外して肉眼で見ると、その人は屋上から落ちて下で動かない
遠くて肉眼じゃよく見えなかったのですぐに双眼鏡でその落ちた人を覗くと全身から血を吹き出して肌の色もゾンビみたいでとにかく恐ろしい・・・。

叫びそうになるほどチビり上がったが、その時他の民家数件からほぼ同時にドアが開いてるのが見えて何人か外に出てくるのが見えた。

幸いこっちには誰も向いてなかったし、車のエンジンもかけたままなので俺はすぐに車内に戻り走り出した。
そのスペースからすぐ50メートルくらいで高速出口のゲートがあって、でもそこには人がいなくて、驚いたが無人で高速自動通過の方でここまでもきてたのでそちらを通って高速外に出た。

ミラーで後ろを一度も振り返らずにしばらく飛ばすと、ようやく普通の大きめの町についてほっしとた。

それでドライブもその後安全に終わって帰ったが、恐ろしいのでその地域のことは今まで調べられずにいる。

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