嫁と出会う前の話。
嫁はバスで職場に通っていたんだが、いつも気持ち悪くなるポイントがあるらしく、運転手はいつもここの運転荒いから酔っちゃうなぁって思ってたらしい。
だけどあまりに毎回酔うから、電動自転車買って自転車通勤に切り替えて通ってたんだと。
ある日嫁がいつもの交差点を渡ろうとしたら、1台の軽自動車が突っ込んで来たらしい。
気がついたら道路に寝てて、横で女の人が泣きながら「大丈夫ですか!」て叫んでたと。
嫁は起き上がって「あ、大丈夫です。遅刻するんでさようなら」と言って起き上がろうとしたら立てない。
その女が更に泣きながら「無理だと思いますぅぅぅ」と。
よく見たら自分は全身血まみれで、車のフロントガラスがバッキバキに割れて、近くに電動アシスト自転車がひしゃげてたと。
結局救急車で運ばれたんだが、検査をしたらおでこをちょっと切っただけで他は無傷。
後に「フロントガラスヘッドで割ってどこも折れてないとか、どんだけ私は石頭なんだ」と言っていた。
骨も折れてないから帰されることになったんだが、義姉さんが医療従事者なんで、義姉さんの家にお世話になることにしたらしい。
そしたらその晩、夜中に目が覚めて枕元を見たら、昔のお百姓さんみたいな格好したえ小さな人たちが、並んで深々と頭を下げてるんだと。
そしてその後ろに、金色に光る蛇みたいな筋が浮かんでたと。
それを見てなのか話したのか、「あ、あそこに眠ってた神さまが、道路工事でうるさいので連れてって欲しいんだな」てわかったらしい。
その時に、あぁそうか、あの場所・・・と全て合点がいったそうで、事故ったのは毎回気持ち悪くなる場所なんだと。
しかも最近そこで急に車のエンジンが止まってしまうトラブルがあり、車屋さんに見せても原因不明。
その後今回の事故だったので、何回も呼び止めてたのに気づかなくてごめんねって言って、
その蛇神様を言われた神社に連れて行ったらしい。
そしてその事故の後、おでこに傷が残ったんだが、半年たっても治らない女の子の顔の傷って、後遺障害認定されるらしいんだよ。
傷治らないから保険会社の本当に傷があるか確認する人?に見せたら、すごい傷が深くて同情されて、さらに後遺障害の等級が上がって、結果嫁はウン百マンの金を手にした。
だが今嫁のおでこにそんな傷はない。
「保険機降りたら傷消えちゃった。てへ。まるで当たり屋だよね」と。
その金は?って聞いたら、「そんなのとっくにみんなに配っちゃった。だってあぶく銭でしょ」と、キルアが菓子に大金使った時のようにサラっと言いやがった。
たまにその時の金があったらと考えるわ。