これは私自身の体験。
あるライブのとき、ずーーーっと私を見ているお客さんがいた。
ライブハウスってステージ上から客席はかなりはっきり見渡せる。
その日は割りと満員に近い客入りで、幕が開いてすぐ客席をぐるっと見渡したとき、その人と視線がぶつかった。
下手の真ん中くらいの位置で、いつ見ても何回見ても目が合う。
短髪で痩せている中年くらい、白いシャツの男性で、無表情って感じでじーっと見てる。
こっちはライブに集中してアドレナリン出てるし、特に怖いという印象ではなかった。
微動だにせずに鑑賞する人はいくらでもいるし、好きなパートをじっと見る人もいるし、見られて悪い気もしないし。
その時は「あー、めっちゃ見てるなー」っていうくらい。
目が合ったときニコッとスマイルを差し上げたりもしてみた。
ちなみに私は鍵盤でその場から動いてないから、まっすぐ私のことを見てるのは間違いない。
何曲かやって、曲間でボーカルがしゃべってるときまでこっちを見ていた。
それでも「うーん・・・さすがにちょっと変わってる人?」としか思わなかったけど・・・。
出番が終わり、楽屋で機材を片付けて、汗拭いたりメイク直したりしてるとき、メンバーに「私のことめっちゃ見てるおじさんがいた」という話をした。
「私の熱烈なファンだねあれはw」、みたいな冗談っぽい言い方だったんだけど、私と同じ下手側に立っていたベースが「ああその人?俺もめっちゃ目が合ってたよ」と。
ドラム:「俺も見られてたけど」
ボーカルも、反対側にいたギターまでも「その人こっちの方見てなかった?」と、メンバー全員がはっきりその人を認識していて、全員が「ずっと自分を見てる人」だと思っていた。
ああなんだ、自分だけじゃなかったのか・・・と思いかけたけど、できる?そんなこと?
自分がその人を見たときだけ、たまたまその人もこっちを見ていただけかもしれない。
でもずっと見てるなーと感じるほどで、そう思うと無意識によけい見ちゃうから、かなりの頻度で見ていたはず。
それをメンバー全員分。
ありえないとは言い切れないけど・・・。
気になったので楽屋を片付けた後、客席に出て探してみたけど、それらしき人は見つからなかった。
その後特に怪奇現象があったわけでもなく、怖い思いをしたわけでもなく。
”私たちのライブを食い入るように見て、たまたま全員と物凄い頻度で目を合わせ、満足して帰った普通のおじさん”だったかもしれない。
おじさん、応援してくれていたならありがとう