俺の小学校の時の体験。
俺の住んでいるとこは県庁所在地だったが、親父の実家が同じ県のド田舎で山の中だったんだ。
冬休みになると正月を過ごすためにそこに連れられて行くのだが、その当時はTVの入りも悪く正直行きたくなかったんだ。
その年もいつものごとく連れて行かれたんだが、従兄弟らがまだ来ておらず暇でしょうがなかった。
で、することも無いので裏の庭で一人遊んでいると、突然ガサガサと音がする。
そちらを見ると、どう見ても『鬼』としか見えないの者が、藪の向こうからこっちを見ている。
背の高さはあまり高くないが角が一本はえていて、筋骨逞しい様子はまさに絵本の中にいる鬼だった。
小学生だった俺は大声で悲鳴を上げると、爺さんが家の中から走って出てきた。
それで爺さんの方に走って行ったが、その時の爺さんの表情から考えるに、爺さんも見ていたものと思われる。
で、そのあと直ぐに檀家だったお寺に相談に行き、和尚さんを連れてきて現場を見てもらったら、「これは自分の手に負えないので、本山に頼むしかない」と言って、本山から徳の高い僧を呼んでくれた。
その日の内に来てくれた高僧は一生懸命祈祷をしてくれ、その後説明をしてくれた。
「どうした訳か分からないが、常世との境目が一部崩れ鬼がこっちに出てきてしまったようだ。さっきの祈祷で恐らく穴はふさいだと思うが.....」と言うことであった。
幸いその後は『鬼』は出ていないが........。