友達と夜のドライブがブームだったときの話。
大体片道1~2時間の目的地を設定して、ナビにしたがって走りながらおしゃべりが定型。
真夏の夜、運転は自分で助手席には友達。
山にある某時代村を目的地に発進。
普通に着いてそのまま折り返した帰り道にそれは起きた。
山道ではあっても、街頭に照らされる普通に綺麗に舗装された道路なんだが、私は突然ブレーキを踏んで車を止めた。
そして数秒後、ゆっくりと走り出した。
走っているとき自分はまったく疑問に思っていなかったが、その時自分は真っ暗闇を走っていた。
見えるのは車のライトに照らされるアスファルトの路面のみ。
意識もライトと路面に集中しており、言葉も思考もない状態。
すると突然田んぼの畦(あぜ)が目の前に現れて反射的にブレーキを踏んだ。
状況がまったく処理出来ず固まっていたら、溶けるように通常の視界に復帰、走り出した、というのが事の顛末。
これ自体は単なる不思議体験なんだが、運転には厳しいはずの友達が、後続も対向もいない夜道とはいえ突然ブレーキを踏んだ私をまったく注意することなく助手席に黙して座っていたのが地味に怖かった。
しばらく家に安全に着くことを念頭に黙って走り、地元の市内に入ってからそれとなく聞いてみたら、彼女には真っ白な壁が見えていたそうな。
それに突っ込んでいたらどうなっていたのか、今でもたびたび考える。
ちなみに某時代村には、運転席に人が確認出来ない暴走車両が時代村を周回する道をグルグル走っていたのを目撃したりと、オカルト好きながらそういった体験に乏しい自分には今でも興味深い場所である。