家は田舎で辺り一面田んぼばかり。
当時、この季節になると夜は蛍がワンサカいるし、台風が来ると風を遮る物が無いから家が軋むくらい、何もない田舎。
子供の頃、中学2~3年だったと思うが、梅雨入り前の夕方、家の庭(20坪、だいたい40畳)に出て、物置から何かを取り出そうと向かっている時、芝生の庭を横断するように何か太いパイプみたいなをのを見つけた。
パッと見は、消防の放水ホース位の太さで、色は緑の混ざった紺色な感じ。
家の周りには垣根があるんだけど、両端は垣根の外にあるみたいでドコから来ていて、全長がどのくらいあるのか全然分からない。
因みに庭の横方向は10~12mある。
近付いてみると、それは真っ直ぐじゃなく、緩やかに蛇行してて、ゆ~っくりと右から左へと動いてた。
しゃがんでマジマジと良く見ていると、その表面は蛇の肌と同じで鱗がある。
地元の大人達(殆ど農家)から話はいくつか聞いてて、話に聞く太さも長さも段違いだけど、「これが青大将ってヤツか!」と俺は大興奮!
俺はその表面にそっと手を当てて撫でてみた。
結構筋肉質で、ツルツルで、ちょっと冷たくて、僅かに湿ってた。
その瞬間、それは「ビクッ」っと震えて、巻尺が戻る様にシュルルルルって進んでった。
たぶんその間は3~5秒だと思うけど、末端はやっぱり蛇や蜥蜴みたいだったのを覚えてる。
「スゲェもん見た!」と家に戻って、両親にその事を話すけど全然信じてくれない。
翌日、学校の理科生物の先生に訊いてみたけど、そこまで大きい蛇は聞いた事は無い、という。
大人になった今では、生物学的にはそんなモノはいないって分かるけど、でも、今でもアレは地元の「主」とか「守り神」みたいなモノだったんじゃないか、と思ってる。