ある友人の話。
つい先日彼はあるHPで「このフラッシュを見るとそこに出てくる女の子が3日以内にやってくる」と書いてあるのを見た。
人一倍怖がりの彼だが人の2倍の怖いもの見たさが勝ち、それを見てしまう。
しかも夜中。
ビビった彼は私に電話をかけてきた。
内容を聞くと「晶子ちゃんという女の子を変質者が拾ってきて暴行を加える、という活字が流れ、その背景で着物を着た晶子ちゃんの顔が歪む」というものだそうだ。
すぐにピンと来た。
知っている人も多いと思うが、それは別のHPで紹介されているもののパクリ。
私は彼にそれを伝え、そういう悪質な謂れのあるものではないと諭すと一応安心したようだ。
しかしあれは確かに不気味だ。
晶子ちゃんの顔は始めから奇形(ケロイド?)であり、それが時々膨張したり縮んだりするのが意味不明で、正直私もはじめて見た時は眠れなかった。
その3日後、彼が体験した不思議な話だ。
件のフラッシュを見てからの2日間はとくに何事もなく過ぎ、3日目も晶子ちゃんのことなどすっかり忘れたまま過ぎようとしていた夜の10時。
2日目に徹夜していたため夕方から寝入っていた彼はサークルの友人からの電話で起こされた。
眠かったがめったに電話なんか掛けてこない相手だったので、仕方なく相手をしていると友人が急にこんなことを言い出した。
「・・・お前、女が来てるだろ?」
もちろんそんなことはないので否定すると、「ウソつけ、いるんだろ?」と、あまりにしつこいので何故だと問いただす。
「だって、後ろから女の声がするから」
彼は心臓に水が入ったような嫌な感じが走ったという。
友人は、じゃあテレビかな?と、合点して電話を切ったが、彼は知っている。
さっきまで寝ていたのだ、テレビなんかついているはずがない。
とりあえず家(アパートだが)の戸締りを確認してベッドに座ったが、嫌な感じは晴れない。
忘れようとして忘れていた例のことを思い出してしまった。
あと2時間で3日目が終わる。
晶子ちゃんの表情のない顔が脳裏に浮ぶ。
あと2時間、本来ならビビリの彼は部屋のちょっとした物音などにビクビクしながら過ごさなくてはならなかったのだが、幸か不幸かその時の彼はとにかく眠かった。
このまま頑張って酒でも飲んで起きていようかと思ったが、12時を過ぎても怖いものは怖いので、いっそ今から寝てしまおうと考えたのだ。
明かりを消し、頭から布団を被って、お経(っぽいもの)を唱えているとあっさり眠ってしまったそうだ。
そして夢のようなものを見たような見ないような無覚醒の時間が過ぎ、それは唐突に現れた。
暗闇の中、目の前に右目の飛び出した女の子の顔がぼやっと浮んでいたのだ。
どこからかアアアアアアと断続的な声が響き、ノイズのような音楽が聞こえた。
女の子の顔が破裂しそうに歪んだ時、彼は後ろにひっくり返った。
腰の痛みで意識が一瞬にはっきりして、この異常な事態を認識し始めた。
暗闇の中でパソコンのディスプレイだけが青く光っている。
彼はデスクに座りPCで晶子ちゃんのフラッシュを見ていたのだ。
ベッドで眠っていたはずなのに。
時間は?と聞くと「夜中の3時だった」とのこと。
なんとも不可解な話だ。