実体験。
オタ臭い内容につき注意。
私はアニメ系専門学校に通ってたんですが、ある日業界で活躍するというOBが学校に来てくれるという事になった。
OBは20代後半。
今まであまり仕事がなかったらしいんだけど、今度始まるアニメで初めてちゃんと仕事を任される立場になった時のこと。
私たちは初めて接する『プロアニメーター』に興奮し、彼をちやほやと持ち上げた。
彼も気分が良くなってきて、「皆っっ!!いいかっ、夢は必ず叶うっ!!辛いときには筆箱の中を見ようぜっ・・・そこに鉛筆は必ずある。それが、君たちが戦うための剣だろ?」と、かなり練習してきたであろうセリフをキリッとした顔で言いきり、私たちも「うおおおおお!!」と大興奮の一日だった。
帰り際、彼は皆のスケッチブックにサインをして、「アニメ、見てくれよなっ!」と去って行った。
そして、彼の関わったアニメが放映された。
思い切り腐に媚びたそのアニメは、この数年ではちょっと記憶にないほどの爆死を果たし、2chでも叩くを通り越して哀れみに溢れるレスが後を絶たないほどだった。
そのアニメが舞台として選んだ町は、町おこしとしてファンが押し寄せるのを待ちに待っていたようだが、当然爆死アニメの舞台に聖地巡礼する人などいるはずもなく、『あのアニメはあの町にひどい事をしたよね』と追悼する声がスレに寄せられた。
そして彼である。
放送初期はツイッターに、
『生きざま、みたってください!!』
『魂よ、鉛筆にこもれ!』
『俺、今生きてるww』
と輝かしい呟きを繰り返していたが、次第にツイートは減っていき、放送終盤~放送終了後は、『えー、お仕事募集中でつ』という呟きを繰り返すだけになっていた。
その人だけじゃなく私たちの将来も見ているようで、胸が痛むを通り越して苦しい。