廃線の駅に降る雪

カテゴリー「不思議体験」

私の体験した話です。

学生時代、バイクで一人旅するのにはまっていました。

ある年の夏休み、バイクに乗って旅に出ました。
最初の2,3日は天気も良く、林道脇や川原でテントを張っていました。

ある日の夕方、夕立だろうと思っていた雨は夜になっても止まず、仕方なく雨宿りをしていた廃線の駅で一晩過ごすことにしました。

固形燃料のコンロを使って夕食を済まし、そのままになっていたベンチに寝袋を敷き横になりました。

夜半に尿意を覚えて、眼が覚めました。

雨は止んでいたので外で立ち小便をしていると、顔に冷たいものが当たりました。

「ん?また降り出したか?」と思い、空を見上げると、白いものがちらちらとしています。

雪でした。

「寝ぼけてんのか?」と思い、なんどか顔を叩きましたが、どうやら幻でも寝ぼけてる訳でもなさそうです。

「はあ、夏に雪がふるとはねえ・・・」と思いつつ、駅舎に戻り寝ました。

翌朝、眼を覚まし外を見てみましたが、昨晩の雪は影も形もありません。
「そりゃそうだよな・・」と朝食の準備にかかりました。

コンロを使い、湯を沸かしている間、駅舎の中に書いてある沢山の落書きを見て回っていました。
その中の一つに眼を惹かれました。

『昭和○○年、○月○○日、○○線廃線名残雪に見送られ終電は無事発』

なんとなく昨晩見た雪を思い出し、「駅舎にも魂ってあるのかもな・・」と感じました。

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