加害者の本当の正体

カテゴリー「心霊・幽霊」

何年か前に自動車板であった祭りが後味悪い。

事の発端は、自動車板の相談系スレへの自称女子大生の書き込みだった。
相談内容は人を轢いて怪我をさせてしまったというもの。
事故の状況は、信号のない横断歩道を渡ろうとした自転車を側面から跳ね飛ばしてしまったというケース。

どうみても自動車側の過失10割な状況に、スレ住人は異口同音に、「お前が悪い。土下座でも何でもして被害者に謝って後は保険会社に任せろ」とアドバイスした。

だが加害者は納得がいかないらしく、さらに抗弁をするが、そのたびにどんどんと酷い状況が明らかになってきた。
ために、急遽専用スレが作られ、祭りの舞台はそちらにうつることとなった。

まず最初の事故の時、加害者はわざと速度を上げていた。
そうすることで自転車がびびって道を譲るはずだ、譲らないのはおかしいという主張であった。
また、跳ね飛ばした後に加害者は救急車を呼ばずに、自分の車に被害者を押し込んでいたというのも明らかになった。

と、ここでスレ住人が疑問を抱いた。
「怪我をして脱力している人間を、女性の手で車に押し込められるだろうか。まして、被害者は男子大学生だったという。体格的にも無理なのではないか?」

他にも色々とあった矛盾点をつついているうちに、相談者は女子大生などではなく、会社員男性で、当日は営業の合間に買い物をしていたのだという事が明らかになった。

女子大生と偽って書き込みをしたのは、そうすれば住人が親身になって相談してくれると思ったからだった。

尚、スレ住人の名誉のために付け加えるが、一部の例外を除いて、相談者に対する回答は親身なものであった。
いかに相談者が非常識で、残されたのは全面降伏でしかないとこんこんと説明していたのだから。

その後、数々の矛盾点の指摘などから事故の大体の流れが判明した。

まず加害者は横断する自転車を、速度を上げて威嚇し追い払おうとして失敗、撥ねてしまう。
その後、抵抗する被害者を車に押し込み、人気のないほうへと運転。(本人の弁では救護のためだが、第三者から見ると証拠隠滅)
だが、その最中に無事だった携帯電話を使って、被害者が各所に助けを求める。
慌てた加害者は手近の病院に、被害者を送り届ける。
そのまま立ち去ろうとした加害者を不審に思った病院スタッフの手で通報。
民事刑事ともに訴えられそうになって、2ちゃんに相談。

当然のことながら、あまりの酷い内容に住人から総攻撃をくらい、さらに被害者関係者を名乗る人物からの書き込みがあった。

加害者はスレで被害者中傷ともとれる内容の書き込みを何度も行っており、その内容が被害者側に漏れることは、裁判でも非常に不利に働くはずであった。

事、ここにいたっても未だに頓珍漢な自己弁護を続ける加害者に、スレ住人は呆れ、被害者にまともな弁護士がついたらしいこともあり、後は専門家が引導を渡してくれることが確定的となってきたため、結末を待たず継続スレは立たなくなった。

その後、続報はなく加害者はしかるべき罰を受けたと思われる。
が、加害者のしたことはひき逃げ未遂の一件であり、もしかしたら誘拐未遂がつけられるかも知れない程度。
たいした積荷はならないのではないだろうか。

そして当人の遵法意識の低さと、果てしない自己肯定の論理がその程度の量刑簡単に矯正されるだろうか。

あれから数年。
もしかしたら、出所した加害者が何食わぬ顔でハンドルを握り、何も知らない不幸な被害者を、再び出してしまうのではないかと思うと、後味が悪い。
あの祭りが釣りであってくれと切に願わずにはいられない。

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