私が育った集落は、小さな田舎町だけどそれなりの歴史があって、古くから続いている数年に一度のお祭りがある。
仏教や神道とは違う感じだから、おそらく民間信仰の一種なのかな。
別に特別オカルトな事がある訳でもなく、神聖な場所と言われる所に、お婆さんがお供え物と依代の木を持って行って、毎年選ばれる”神様の子”の役目の子供達が数人で歌を歌うだけなんだ。
ただ、その儀式の行われる日は、その場所に集落以外の人間は入っちゃいけないと言われてて、それは、祀られている神様が依代に移る時に落ち着かないからだと教わってきた。
実際、夏休みや年末の帰省時期とは全然ずれてるから、なんの観光もない田舎に部外者が来る事はないんだけど、どこからか、こういう民間の秘祭(?)に興味を持ってやってくる人がいるんだよね。
それで、わざわざその祭りの日に、東京から来たっていうオッサンがビデオカメラを持って入ろうとしてきて、大人達が止めに行ったんだけど、大声でわめき散らして大騒ぎになった。
「なんで見せられないんだー!ヤバイ事でもやってるんだろー!!」とか大声で叫んでケンカみたいになってて、最終的には駐在さんに連れて行かれた。
パトカーに乗せられる時に、その男が血管が浮き上がるくらい真っ赤な顔して叫んでた光景がものすごく異様で怖かった。
祭りがゴタゴタになった事とは関係ないと思うけど、その年に集落に繋がる場所の道路工事で崖崩れが起きて亡くなった方が出たり、高校生が1人、心筋梗塞で亡くなったりしたので、もっぱら「あの騒ぎのせい」っていう噂も多くて、ますます私の中で東京=怖いイメージが固まってしまった・・・。
実際、上京してみたら親切でまともな人が多くて、なーんだ普通だと思ったけど、上京するまでは怖くて仕方がなかったな・・・。