目撃者は消される・・・

カテゴリー「都市伝説」

友達から聞いた話。

エレベータは深夜になると節電のため止まってしまうため、薄暗い非常階段を使う以外に、上の階へ上がる方法はなかった。

俺は自分の部屋のある5階のフロアまで上ると、重い扉を開けようとした。
そのとき、上の階に続く階段から誰かが駆け下りてくる足音を聞いた。

次の瞬間、俺はその人物と衝突し、横へ倒れるように転んだ。
飛び出してきた人物は俺に構わずそのまま階段を逃げるように下りていった。

階段を下りていく足音を聞きながら、俺は舌打ちをした。

理不尽な行為に怒りを覚えたが、追いかけて文句を言うほどの気力も残っていなかった。
顔ぐらい見ておけば、何号室の奴ぐらいかはわかったかもしれないが、あまりに突然のことで、俺はその人間の顔を見ることもできなかった。

立ち上がり部屋の前で鍵を開けようとしたとき、肩の辺りが赤くなっていることに俺は気づいた。
よく見てみると、それはどうやら血のようだった。

俺は先ほどすれ違った人物を薄気味悪く思ったものの、疲れていたので洗濯機に赤く汚れたシャツを放り込み、その日はもう眠ることにした。

次の日、テレビをつけると、このマンションの上の階で殺人事件があった旨を伝えるニュースが流れていた。
もちろん俺は昨夜の出来事を思い出していたが、名乗り出るつもりはなかった。

せっかくの休日を潰されたくもなかったし、面倒なことに巻き込まれるのはもっと御免だったからだ。

顔を洗い、シャワーを浴びようと服を脱いでいたとき、家のインターホンが鳴った。

覗き窓から見ると、警官が立っているのが見えた。
裸だった俺は受話器を取り、警官と二言、三言話をした。

警官が質問してきた内容は昨夜の殺人事件のことだったが、俺は何も見ていないと答え、これから用事があるから急いでいるという言葉を最後に受話器を置いた。

次の日の夜、帰宅した俺がテレビのスイッチを付けると、殺人事件の犯人が捕まったことを知らせるニュースが流れていた。

そこには昨日、俺の家に訪れた警官の顔が大きく映し出されていた。

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