俺の母親は、俺が小学生2年生の時に死んだ。
死んだことを納得できず、そのあと一月くらいは母親が帰ってくるのでは?と期待していた。
ある日。
学校から帰ると普通に母親がいた。
買い物を済まして夕食の準備をしていた。
父親が帰ってきたが、母がいることに驚く様子はなかった。
子供だったので、母が帰ってきたことがうれしくて、そのまま生活した。
学校にいって、友達に「死んだおかあさんが帰ってきた」と話しても、「オレくんのおかあさん、死んでないじゃん」と言われた。
楽しい日々が続いた。
1年半ほどした、その日は、遠足だった。
母親の作ってくれた弁当はとてもおいしかった。
遠足から帰ると、家に母親の姿はなかった。
家中探し回ったがいなかった。
母親が生活していた痕跡もなかった。
慌てた俺は、家の近所も探し回ったが見つけられなかった。
夜になって父親が帰ってきたので、「おかあさんがいなくなった!」と言ったら。
「おいおい、おまえ、いまごろ何言ってるんだよ・・」と困った顔で言われた。
次の日から、父親と二人の生活が始まった。
30年以上経った今でも、あの時の母との生活を思い出す。
何だったんだろう?