小学生の頃の話。
冬場に仲間と近所の山で遊んでいると、完全に凍った小さな池を見つけた。
俺たち5人ぐらいが乗っても全然平気。
その日は陽が暮れるまでスケート遊びをして帰った。
翌日学校でその話題で盛り上がり、クラスの一人が「場所を教えて」って言ってきたんだが、俺らのグループからちょっと疎まれてる感じの子だったので、誰も教えてあげなかった。
俺はちょっとかわいそうな気がして帰りがけにそっと教えてあげた。
そいつは「ありがとう」と嬉しそうに笑い、走って帰っていった。
翌日。
そいつは学校に来なかった。
朝の会で先生が泣きながら話したことによると、昨日そいつがなかなか学校から帰らないのを心配した親が捜索願いを出し、さんざん探したところ、氷が割れた池にはまって凍死した姿で発見されたらしい。
その冬のうちに池はフェンスで囲まれ立ち入り禁止になった。
あいつが最後に「ありがとう」といった時の笑顔がいまだに忘れられない。