どのくらい後味悪いかはわからんが。
ある小学校に頭はいいが体力のない少年Aがいた。
Aは体力がなく、学級会のドッヂボールなんかでAが入ると、大抵Aが足を引っ張って負けてしまうという事で嫌われていた。
同じクラスには、勉強はさっぱりだが体力があり運動神経もよく、笑いを取るのが上手で割と人気者なBがいた。
Bは人気者な方ではあったがデリカシーのない笑いの取り方をするので、少しクラスメイトに距離を置かれていた。
ある時、学級会のドッヂボールでAとBが同じチームになった。
Bは取り柄らしい取り柄は運動神経が良いくらいだったので物凄く頑張ったんだが、Aが失敗したり邪魔をしたりで結局負けてしまった。
それまではBが同じチームなら勝てると言われていたのに負けてしまった事でAは大分クラスメイトから非難され、結果Bを代表としたやんちゃ者グループから虐められるようになった。
Aは頭が良かったので、Bの虐めに取り合わずにおとなしくしていた。
数年後、地域の3小学校の生徒が集まる中学校に進級した。
相変わらずAは頭がよくて体力がなく、Bは頭が悪くて運動神経が良かった。
進級して世界が広がったことでBはAを虐めなくなったが、進級した事で自分より頭がいい人が増え、しかも彼らの小学校が3校の中で一番レベルの低い学校だった事もあって、頭がいいことしか取り柄のなかったAは自分に自信が持てなくなり、また他の2校の生徒から「こんな問題も解けないのか」という中傷を受けるようになってストレスをためるようになってしまった。
そんな中で、Bのいたやんちゃ者グループと仲良くなった2校の生徒が以前B達グループがAを虐めていた事を知ってAに対して「虐められていたのか」「どういう虐めだったのか」と執拗に聞き出す事をはじめた。
元々ストレスをためていたAは、とうとうキレて「Bがあの時自分を虐めなければ今こんな思いをする事もなかった」と考えてBを虐め返すようになった。
Bは頭は良くなかったが「自分がやっていた虐めのせいでAが嫌がらせを受ける羽目になった」と理解してAに反抗はしなかった。
ところが、コレを見ていたやんちゃ者グループは元々デリカシーのない笑いの取り方をするBに仕返しをするいい機会だと考えてBに嫌がらせをするようになった。
Aの行動に関しては理解して我慢できたBだが、友達だと思っていたやんちゃ者グループに嫌がらせをされるようになって、自分はそんなに不愉快な事をしていたのかと悩むようになってしまった。
やんちゃ者グループが自分に嫌がらせをしなくなった事で余裕を取り戻していたAはBが落ち込んで悩んでいる事に気付き、その発端が自分にあると気付くと虐めをやめてBに八つ当たりの謝罪をし、Bの悩みを聞くようになった。
しかしやんちゃ者グループは嫌がらせをやめず、Bは友達だと思っていたグループの執拗な嫌がらせに根気負けしてとうとう自殺してしまった。
当時はそれほどニュースにはならなかったが、Bの親が学校に怒鳴り込みにきて、クラスの見て見ぬ振りをしていた女子の「男子が虐めをしていた」という発言に大変怒って首謀者達に謝罪をさせろと言い出した。
ところが当の男子は「Aが虐めをし始めて他のクラスメイトも一緒にやりはじめた」とは言ったが、「Aは途中で虐めをやめてBの悩みを聞いていた」ことは誰もが知っていたのに言わなかった。
ずっとBの友達だと思っていたAが首謀者だと知らされたBの親はAを口汚く罵り、Aは自分のせいだと深く思い悩むようになって、Bの後を追うように自殺した。
Aの親は学校とBの親の説明に平身低頭に謝ったが賠償金を支払うだけの金銭的余裕がなく「死んでお詫びとさせて下さい」と書き残して自殺した。
当時の虐めていたやんちゃ者グループはお咎めなしだった。