単なる痛い話でしかない気もするが、驚愕もしたので書いてみる。
私が高2の時、帰宅途中の道に建設中の家があった。
半月程前から工事が始まって家の枠組みがなんとなくできてきた感じ。
その日もなんとは無しに工事中の家を横目に歩いてたんだが、その日に限って資材を運んでたおっちゃんがバランスを崩し、二階の高さから細長い中が空洞の鉄の棒(正式名称ワカンネorz)が落下。
ちょうど下を歩いていた私に直撃、胸に「ドンッ」っと衝撃が来て一瞬息が詰まっただけだったんだが、おっちゃん達がすぐに真っ青な顔して下りてきた。
当の私自身は、まぁ危なかったけどそんな慌てんでも・・・とか思って「大丈夫ですよ」って意味で軽く片手を上げようとしたら、なんか手に当たったんですよ。
なんだ?と思って見るとなんと、鉄の棒が左胸を貫通してた。
それに自分で気づいた瞬間さっきまではなんとも無かったのに急に息が詰まって「ふらぁ」と後ろに倒れこみそうになった。
だがちょうど身体に刺さった鉄の棒がつっかえ棒みたいな役割になって倒れることができなかった。
それどころか自重で「ズズズズッ」っと音を立てて更に深く鉄の棒が体に抉り込んでくるので反射的に身体を起こしたとこにおっちゃんが駆けつけて来て肩を貸してくれた。(今でもあの音はちょっとしたトラウマ・・・)
その後は野次馬が集まってきたり、相変わらずおっちゃん等が騒いでたりしてたがよく覚えてない。
鉄の棒が刺さっているため座り込むことも地べたに寝転がる事もできなかったので救急車がくるまではずっと立ちっ放しだった。
10分位して救急車が来たんだが鉄の棒が邪魔で救急車に入れない、仕方ないのでその場で邪魔な部分を切り落とす事に。
切る時の振動とか滅茶苦茶痛いんじゃないだろうか、と思ってたが、痛みはそれほどでもなく、むしろ振動そのもの方がきつかったし、振動が身体に伝わってきて吐きそうな感じ。
んで切断が終わると救急車に乗せられ即病院、そのまま緊急手術。
「私死ぬんだな・・・」とか思ってたんだが、あっという間に手術終了検査も含めて翌日には退院してまった。
鉄の棒は位置的に心臓、肺共にジャストミート正直もう助からないんじゃないか、と医者も思ったらしい。
じゃあなんで助かったかっつーと、幼少の頃に私は大病を患っていて、医者の話だと元々心臓病なんて重い病気を患ってる上に肺炎と腸詰まりまで併発してたらしく、そりゃあ大手術だったらしい。
んでその時の手術で私は左肺全部と腸の一部を切り取っていた。
心臓は病気のせいなのかそれとも特異体質なのかはよく分からないんだが、私は心臓が右側にある、右よりとかじゃなくて本当に右側。
というわけで鉄の棒は左胸を貫いたものの肺も心臓も傷つけることなく、更にはうまいこと骨の隙間を貫通したため、実質私の怪我は刺さった部分と突き抜けた部分の皮膚の裂傷と多少の出血だけですんだ。
医者曰く「普通ならまず心臓を貫通した時点でほぼ即死」との事、不憫な身体だと思ってたが、この時ばかりは自分の身体に感謝した。
自分の胸に鉄の棒が生えているのを見た時の驚愕は間違いなく私の人生で一番だったよ