昨夜呑み過ぎてフラフラ国道を歩いていた。
突然車のライトに目が眩んだ瞬間、ガシーンと全身に衝撃が走ったその時、ダンプに撥ねられたことを悟った。
それからの記憶がプッツリと切れてるんだが・・・。
今、白昼の中見知らぬ田舎道を歩いている。
でも何だか懐かしい風景だ。
遠い昔来たことがあるような・・・・・・。
やがて何となく見覚えのある藁ぶきの家が見えてきた。
そう、幼き頃母方の里帰りによく連れてって貰ったお爺ちゃんの家だ。
自分のことをとてもかわいがってくれて、おこずかいもよくくれたっけ。
もう、他界して20年は経ったろうか。
しばし立ち止まり、思い出深い佇まいの家を眺めていた。
ガタガタと音がして中から老人が出てきた。
こちらを見てにこやかに手招きしているお爺ちゃんだった。
あの優しい眼差しのお爺ちゃんの笑顔忘れるはずもない。
これが夢であればいいのだが。
そう思いながら、自分の足元を見る。
あるべき影がなかった。
自分の境遇を理解した。
思い出の中だけに存在していたお爺ちゃんの家に向かって歩き始める。
全てを理解し、受け入れたから。
そう自分でも思っていたんだが、目を覚ますと病院のベッドの上だった。
あっちの世界に行く心の準備はできてたけど、まだ行っちゃいけなかったみたい。