もう15年くらいになるだろうか。
地元であった話。
商店街の一角に服屋さんがあったんだけど、若者向けの割には値段が高くて、あまり利用する人はいなかった。
ある日そこのお店の主人が、経営難を理由に自殺。
葬儀やら何やらがひと段落着いた所で、遺族は店に残された沢山の商品をさばくために
投売り価格で全部売って処分しようとした。
今までその店に寄り付きもしなかった人達が店に押し寄せて、全部完売。
お店がオープンして以来来たことのない客数だったそう。
当時学生だった私は、最後のセールは知っていたけど行く気になんかなれなかった。
クラスメイトが「これ、あのセールで買ったんだよ!もっと早く自殺すればよかったのに」と、服と自分が見た店内の様子を自慢していて居た堪れなくなった。
それから数ヵ月後、そのお店が入ってた建物の2階の窓から、自殺した服屋の主人が見下ろしていたと言う噂が広まった。
その噂が本当なら、彼は一体どんな気持ちで下を通る人たちを眺めていたんだろう。