俺の原因か、もしくはその島が原因か

カテゴリー「心霊・幽霊」

ほぼ毎年、とある離島に旅行していた頃があった。

景色の良い処で、島内の小さな集落にある民宿に連泊して、島内をあっちこっち歩き回った。

或る年、ちょっと頑張れば徒歩で島を一周出来るな、と思い、トライしてみた。

宿に頼んでオニギリのお弁当を作ってもらい、早朝に宿を出て、島を時計回りに一周して夕食までには宿に戻ってくるという計画だった。

歩いてみると、途中、車で送り迎えしてもらった時には気が付かなかったが、小さな祠があちらこちらにあることに気が付いた。
で、そういうのを見つけるたびに、休憩がてら、軽く、お参り、というか、手を合わせて拝むことにした。

そして、風景を楽しみながら歩き続けた。

島を一周する道は、島では幹線道路であったのだが、田舎道で、その多くは車道と歩道の区別がない道であった。

そもそも通る車の数が大したことないので、歩くのに不都合ではなかった。
途中、出会う車のドライバーは皆んな私を大きく避けながらも、ずーと私を見ていたが、田舎の人はちょっとの移動でも車を使い、歩かないので、歩いている人が珍しいんだろうと、気に留めなかった。

島を徒歩で一周するというのは、想像したのより結構ハードではあったが、朝スタートした民宿に夕方戻る事が出来た。

翌年またその島その民宿に行った。
もう覚えてもらっていて、年賀状も毎年送られてくる仲だった。

例年そうするように、夜の食事のあと、宿の人と話をして去年のことを聞かれた。

「途中で、誰か、パートナーを見つけたんですか?」と聞かれた。

「いいえ、ずーと気楽に一人で我侭に歩いてましたけど・・・!?」と答えたら、宿の主人と奥さんが顔を見合わせて、黙ってしまった。

ナンか変だな、とは思ったが、聞いて欲しくないような空気を出しているので
そのままにしておいた。

翌々日宿からフェリーターミナルまで車で送ってもらった。

運転は宿の主人の弟の奥さんだった。
地元の育ちの人ではなかった。

車中でまた「去年、歩いて島を一周した時、途中で、誰か、お仲間さんとか見つけたんですか?」と聞かれた。

それに答えず、「え?なにか?」と聞くと、「お客さんが歩いているのを島の人が沢山目撃しているんですけど、その話が、その、・・・、或る人は、二人だったと言い、別の人は三人だったと言い、大体、島を歩いて一周するひとなんて、お客さんくらいで・・・」と。

なんだったんだろう。
その翌年は、年賀状が来なかった。

なんか、嫌がられているんだな、と思ったので、その年は行かなかった。
今年は迷っているうちに、夏が終わろうとしている。

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