学生時代、私は大学のすぐ裏にアパートを借りて一人暮らしをしていました。
新生活が始まってすぐ、近くに住む叔母家族が冷やかしに来てくれました。
叔母夫婦と2歳(くらい)の従弟の三人です。
私が中でお茶でもと招き入れようとすると、従弟がぐずりだしてしまいました。
しばらくなだめていましたが、ちょっとゆっくりするのは難しい、と叔母が判断。
そのまま中には入らず外に食事に連れて行ってもらいました。
時は流れて社会人となり、実家に集まって叔母夫婦と酒を飲んでいた時です。
ちょっと黙っていたことがあるんだけど、と叔母に話を切り出されました。
あの時(従弟)があなたの部屋に入りたがらなかったじゃない?と。
正直私はぼんやりとしか覚えてませんでした。
まあいいけど、と叔母が続けました。
あの日、帰りの車で従弟に聞いたんだそうです。
今日はどうしたの。
どうしてあんなに泣いちゃったの、と。
「・・・だって、(私)のおうち、こわいおばあちゃんがいるんだもん」
夫婦で相談して、私が卒業するまでは話さないようにと決めたそうです。
たくさん思い出を作ったアパートでしたので、その判断には感謝しています。
金縛りにもたくさん遭いましたが、そういうことだったんですね。