芋蔓で思い出したんだけど、小1の時、よく大学病院に末期癌の祖父のお見舞いに行ったんだ。
祖父は酸素吸入器をつけてゼーゼーハーハー瀕死の状態。
病室には死の気配が充満してて、いつも凄く怖かった。
お見舞いにもらった果物を祖母が食べろ食べろとすすめてくれるんだけど、死臭が染みついてる感じがして、気味悪くてとても喉を通らなかったよ。
そういう病室の空気に耐えられなくなって、ある時、僕は一人で病院内の探検に出た。
大きな国立の大学病院だったんだけど、建物は大正時代チックに古くて薄暗くて天井が高くて、病棟から病棟へ渡り歩いてるうちに迷子になっちゃったんだよね。
人けはないし、半ベソのパニックで彷徨ってたら、来た時に通ったような鉄の扉があったんで、僕は必死でその重い扉を開けた。
でも、そこにあったのは廊下じゃなく、誰もいない研究室みたいな部屋・・・・・・。
しかも部屋中が棚だらけで、棚には大きなビーカーがズラッと並んでる。
んで、ここからが現実なのか幻覚だったのか自分でも分からないんだけど、ビーカーには薄黄色い不気味な液体が入っていて、へその緒をつけた胎児だの、人間の目玉だの、ビローンと伸び切った人間の顔の皮だのが浸されてたんだよ。
いわゆるヴンダーカマー(中世ヨーロッパ貴族の猟奇コレクション)の世界って感じだった。
心臓が止まるようなショックを受けたのは覚えてるけど、記憶はここで終わり。
どうやって病室に戻ったのかも覚えていない。
気絶したような気もするけど、それも後付の改変された記憶かもしれないな。
でも、これがトラウマになって今でも病院は大の苦手。
たまに病院に行っても絶対にうろついたり、得体の知れないドアを開けたりしない。w