俺が10才くらいの頃。
何の用事か忘れたが、近所の神社に家族全員でお参りにいった。
お参りを終えて帰ろうとして神社の前の鳥居を抜けると、目の前で夏祭りをやっていて、俺はテンションがアホほどあがって一人で走って神社の前を横切る道を渡り、お祭りに向かった。
結構人も多く、肌寒い季節なのに浴衣を着てる人も多くてオカンに「リンゴ飴食べたい!」と言って振り向いたところ、オカンも親父も妹も弟もいなかった。
何故か神社も鳥居もなく、ずーっと向こうまで屋台が続いていて迷子になった、と焦った俺はひたすら走って戻ったけど、屋台はどこまでも続いていて、これはおかしいとさすがに思った。
屋台の間をすり抜けたところ、突然目の前に鳥居と家族があらわれてオカンに「あんた、いきなり走り出したら危ないでしょ!!」と怒られた。
振り返ると屋台なぞ一つもなく、いつものように田んぼと公園と普通の町並みがあった。
婆ちゃんに言ったら「神様の縁日だったのかもしれんね」といった。
神様もリンゴ飴食うの?と聞いたら「さあな」と笑われた。