子供の頃に体験した話をします。
ブラックメダル。
「嘘だろ?マジかよ!」
この日、友人Bと一緒にメダルゲームで遊んでた。
時にJPを出した。
すると普通のメダルに混じって黒いメダルを2枚見つけた。
驚いたね昔、変な噂を聞いてたから。
このゲーセンでメダルゲームを夜にやっていると希に黒いメダルが出て来るというものだ。
確かに金色のメダル1枚を普通のメダル20枚と交換してくれるという珍しいサービスがこのゲーセンにはあったんだけれども、黒いメダルなんてのは1度も聞いた事が無かった。
一応店員にも聞いたが知らないと言う。
噂では、その黒いメダルを立ち入り禁止の地下1階にある故障筐体置き場のゲームに入れると普通にゲームを遊べるというものだった。
面白そうなのでBと一緒に行く事にした。
地下1階に入ると当然電気も点いておらず真っ暗だった。
無造作に奥に並べられた筐体が一層不気味さに拍車をかけている。
その中の1台に目を付け黒いメダルを入れてみる。
薄緑色に焼けた画面に不気味な薄暗い森の映像が映し出された。
音は一切無い。
五分位すると登山装備に身を包んだ登山者らしき小さな人間が画面の端から現れて森を行ったり来たりしている。
そして小さな声も聞こえる。
「誰か居ないかー助けてくれー」
「遭難したー助けてくれーおーい!誰かーいないのか?」
声が小さ過ぎてよく聞き取れないが、多分そう言っている様に聞こえた。
とうとう登山者は疲れ果てたのか画面中央にある古い注連縄の巻かれた大木の下にへたり込み眠ってしまった。
すると突如画面が暗転する。
「な?本当だったろ?」
「終わりか?もう一度やってみる?メダル勿体無くね?」
「今使わないでいつ使うんだよ?」
そう言うとBはもう1枚の黒いメダルを入れた。
「うわああああああ」
2人同時に悲鳴を挙げた。
画面にはさっきの薄暗い森が映っているが様子が違う。
「どこなんはよ!ここぉは?おい!たふけてーくだーえーなんへーおなじとこぐるぐるまってーきにないふぉでしるしつけたのにーぐるぐるぐるぐるおかしーどー」
大音量で不気味な絶叫が地下階に響いた。
あの登山者が木に飲み込まれながら何かしら叫んでいた。
木に飲み込まれつつあり顔手足が根や枝みたいにぐにゃりと曲がって緑灰色に変色していた。
絶叫しながらBと急いで地下階から逃げ出した。
あれは本当にトラウマだった。