ついこの前の話私は大学生なんだけど、その日は普通に講義を受けてた。
その講義は友達もいなくて、まんなかの席を陣取るのもなんとなく気が引けたから、後ろの方の席に座って、講義を聞いていた。
その前日、飲み会で徹夜していたからだろう、私はいつの間にか気持ちよく眠ってしまってた。
それでしばらく、そのまま寝てたんだけど、何だか隣の席から変な音がする。
コツッ・・・コツッて何かが軽くぶつかるみたいな音。
せっかく気持ちよく寝てるのにうざいなー、って思いながらもその時はそのまま机に突っ伏せて寝てた。
でも、ずーっと続くんだよね。
その音。
コツッ・・・コツッ・・・って一定のリズムで。
隣のやつがシャーペンで机でも叩いてるのかな?と思った。
たまにいるよね、そういう癖がある人。
ずっとその音聞いてたら、何だか目も冴えてきちゃって、あーもう起きようって気になった。
そんで机から顔をあげて、ついでに隣のやつがどんなやつか見てやろうと思ったの。
見なきゃよかった。
よく考えたら私の席、窓際だった。
隣のやつなんか要るわけない。
その代わり、窓の向こうにはいた。
もう、思い出すだけで寒気がする。
そいつの顔は女だった。
すっごい白い肌をした、黒髪の女。
怖いのは身体だった。
まず、身長が異常に低かった。
椅子に座ってる私よりも頭は低い位置にあった。
でもそんなことより気持ち悪いのが、身体の作りというかなんというか・・・。
細すぎる。
本当に、テレビで見る拒食症とかそんなレベルしゃない。
骨だけっていうか、骨も入ってんのソレ?って位。
でも顔だけは普通の顔。
黒髪の綺麗?な女の顔なんだよ。
そのアンバランスさがとにかく気持ち悪かった。
そんな奴が、窓の外のバルコニーに立ってた。
枯れ木みたいにガリガリの腕で窓ガラスを叩きながら。
コツッ・・・コツッ・・・。
本当に怖い物を見た時って、逆に目を離せなくなるもんなんだろうね。
全くの無表情で窓を叩く女を見ながら、そう思ったよ。
女を見てる間、心の中でずっとナムアミダブツを唱えてた・・・。
でも全く効かないから、もう藁にもすがる思いでおばあちゃん助けて!
お願い!!
って去年死んだおばあちゃんに向かって念じた。
(私に優しいおばあちゃんだったのと、霊感があってそういう相談にのっていた人だった)
そしたら、その瞬間女の姿がスーっと薄くなっていって、気がつけば消えていた。
今はおばあちゃんの仏壇にお参りするために、地元に帰ってるところです。
好物だったバナナもお供えした。
おばあちゃん、ありがとう!
でも、もうあの教室には一人では入らない。
単位落としてもいーや。