殺人医師の話

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

ある主婦が、小学校低学年の娘が風邪をひいたようなので、病院に連れて行った。
その病院は潰れかけの開業医だったが、主婦は待ち時間が少なくて済むので便利だといつも利用していた。

受け付けの看護士は休憩中なのか姿が見えなかった。
が、白衣にメガネの、二十代後半と思しき痩身痩躯の医師が主婦と娘を迎え、診察室に招き入れた。

いつもの老医師と違うので、主婦は「A先生は?」と尋ねると、痩身の医師は
「あの人は法事で・・・ 今日はヘルプで私が入ってます」
と笑った(『不思議の国のアリス』のチェシャ猫みたいな笑顔だったらしい)。

医師は聴診器で娘の診察を始め、主婦は尿意を催してトイレへ向かった。
用を足し終えて主婦が診察室に戻ると、そこには床に倒れ、白目を剥いて泡を吹き、失禁しながら痙攣する娘が・・・。
痩身の医師は既に姿を消していた。半狂乱になりながらも、主婦は携帯で警察を呼んだ。
その日、その病院は唯一の医師であるA医師に急用が出来たので臨時休業にしていた。

そこにあの痩身の男が不法侵入し、白衣を着て獲物を待っていたのだ。
娘は首を、喉が潰れ、脛骨に亀裂が入る程の力で絞められ、命は助かったが脳に障害が残るであろう、という重傷を負わされた…

・・・「殺人医師」に御用心。

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