写真部に所属する男子学生が夏季休暇中の大学で、部室の暗室にこもって現像作業に勤しんでいました。
現像作業に熱中して、気づいた時には19時を回る頃に。
お腹も空いたので、さて帰ろうかというときの事です。
開錠して、ドアノブを回してもなぜか扉が開きません。
ドアが古いせいか、どうやら鍵部分が壊れてしまったようです。
「まいったなあ」
男子学生は携帯を見ましたが、現像室には電波が届いておらず、圏外となっていました。
これでは、友人に助けを求めることもできません。
「明日になれば誰か部室に来るだろう・・・」
それから二週間後、帰省先から戻ってきた写真部員が部室に立ちこめる酷い臭いに気づきます。
部室のドアを開けた瞬間、肉の腐った臭いで思わずむせ返ってしまいました。
鼻をつまんで部室に入り、臭いの元を探ると、どうやら暗室の方から漂って来ているようです。
くだんの暗室のドアを開けようとしましたが、鍵が掛かって開きません。
「まさか・・・」と思い、警備員を呼んで暗室のドアを開けてもらうことにしました。
警備員が工具を使ってでドアをこじ開けると、男子学生が変わり果てた姿で・・・。
検死の結果、男子学生の死因は窒息死と判明しました。
極度の空腹と閉鎖空間の恐怖により精神に異常をきたした彼は、大量のネガや印画紙を飲み込んだのです。
そして、ネガを喉に詰まらせて窒息して亡くなったのでした。
暗室には外に出ようと必死になって扉を壊そうとした形跡があって、男子学生の手や爪はぼろぼろで、ドアには夥しい血痕が残されていたそうです。