そんなに怖くないですが事実と言うことで。
俺は施設警備員をそこそこやってるんだけどね。
いわゆるそういった霊体験はしたことが無い。
よくこういったトコでも警備員が遭遇する話はよくあるんで、警備やる際に気になったりしなくも無かったけどね、残念なのか幸せなのか。
それでも医大の警備ともなると中には相当不気味な部屋もあって、巡回しなくちゃならんとはいえ解剖室とかは行きたくないもんだ。
夏場の時期には生徒達が2週間ほどかけて献体を解剖する授業があり、その間はその解剖中の献体に青いビニールがかけられた状態でズラリ並んでるのだから嫌な意味で壮観と言うほかない。
霊はさておいても昼間でも行きたくない。
そこである日、仕事場の先輩に聞いてみた。
「ここってその手の話ってないんですか?」と。
すると先輩は、フムといってから「ちょっと違うがこんな話がある」と言って来た。
それは随分前の話。
巡回を一人が行っている際にはもう一人が受付で人の出入りを確認している。
その夜も一人が巡回に出たので、片方が受付で相手の帰ってくるのを待っていた。
普段なら1時間もあれば余裕で全て回り終えて帰ってくるはずが、その日はいつまでたっても戻ってこない。
あまりに帰りが遅いので無線に連絡を入れたが返事は無かった。
異常を感じた警備員はもう一人を探しに行くことにした。
いつもの巡回ルートを辿り、一つ一つの部屋を確認していく。
万が一の侵入者のことを考えて持ってきた、特殊警棒を握る手が汗でじんわりぬめる。
そして異常ももう一人も見つからず進んでいった。
すると一つの部屋の扉が開いている。
巡回では開いてる部屋を施錠していく。
と、言うことはそこでもう一人に何かがあったということだ。
今一度気を引き締めて懐中電灯と警棒を握り締める。
そして一気にドアを開きライトを中に向けた。
その瞬間・・・警備員の絶叫が医大中に響きわたる。
・・・台の上には目玉をくりぬかれた生首が乗っていたから・・・。
・・・別にもう一人の警備員の生首とかではありませんよ。
それは学生がタチの悪い悪戯として、解剖の授業の際に献体の首を切り離し、台の上において警備員を驚かせようとしてやったという事でした。
最初の警備員はそれをいきなり目にした為気絶してしまっていたのです。
ちなみに、学生さんのために死後の体を提供してくれた献体の方に対して、あまりに失礼な行為をしたということで、それをやった学生は即刻退学になったとか・・・。