俺が聞いた中でもロマン溢れるのをひとつ。
ある人が子供の頃の話。
ある山の麓に、大人たちが「入ってはいけない場所」と呼ぶ場所があったそうで、そこは山の麓の、一畳ほどの空き地だったそうだ。
なんとこの空き地、草一本生えず、その場所の上に貼り出す樹の枝さえも完全に枯れていたという。
まさにそこだけ切り取られたように、本当になにもない更地であったそうだ。
しかし、大人たちはその空き地に入らないように気をつけながら、その空き地に畑でとれた野菜や山菜なんかを置いて帰ってゆく。
体験者:「ここは入っちゃいけない場所なのになんで?」
大人:「人なら、顔さえ入れなかったら大丈夫。ここはどんなものを置いていても動物が近寄らないから、大荷物になった時はここに放置しておくんだ」
そう語ったという・・・。
そんなある日、その体験者はこの場所がどうしても気になり、誰もいない隙を見計らって、この場所に一歩足を踏み入れたそうだ
途端に、パクッと上半身ごと何かの口に喰われるような感覚がして、当たりが真っ暗になった
周りは普通の里山の光景だったのに、身を乗り出してこの場所に頭を入れた瞬間、景色だけでなく音さえもいっぺんに消え、テレビの主電源を消すかのように、すべてが真っ暗になって何も見えなく、何も聞こえなくなったのだという。
えっ?と思って咄嗟に身を引くと、まるで今までの光景が嘘だったかのように、元通りの里山に戻っていた。
この場所は単に入ってはいけない場所なのではない・・・。
この場所には何者かが居座っているのだと、体験者はそう思ったそうだ。