私はコンタクトレンズがないと外を歩けないほどの視力。
ある時レンズを外す際に「パチン」と、弾いてしまい、レンズは宙を舞い、棚と洗面台の隙間に落ちました。(目視で確認した)
面倒だな・・・と思ったけど、棚を動かしついでに掃除もしてコンタクトを探した。
しかし、一時間以上探したけど、でもどうしても見つからなかったので、翌日新しいレンズを購入するはめになった。
次の日の晩、寝る前にレンズを外してると、頭上からレンズが降ってきた。
実際には私は洗面台に身をかがめていたので、どこから落ちてきたかは分からない。
この段階では私は、「多分昨日なくしたと思っていたレンズは私の体のどこかに付いていて、一日経った今たまたま落ちたんだ」と解釈した。
私の手元にあるレンズは三枚になった。
ところがその数日後、再びレンズを外す際に弾いてしまい、あらぬ方向へ飛んで行って紛失してしまった。
コンタクト歴10年以上の私としてはあり得ない失態だった。
でも前回ラッキーだったおかげでレンズはまだ二枚残ってたので、翌日からはそれを使って過ごしていた。(ちなみに両目の視力は同じ)
ところがまた数日後、これまでと同じ方法でレンズを一つなくした。
私の取り方が悪いのかも知れないけど、これまでそんな事なかったのに、とかなり落ち込み、レンズ屋にまた買いに行ったら、レンズ屋の人も呆れて、「これからはスポイトを使って取るように」と、取り方の特訓をさせられた。
そしてその夜、慣れないスポイトでレンズを取ってる時、またなくしたはずのレンズが頭上から降ってきた。
自分は不思議な事を割と普通に受け入れる方なので、「ああ、何かがここでイタズラしてるのかな?次になくしても次の日には返してもらえるんだな」、なんて楽観的に考えるようになった。
だからその後また立て続けに2枚なくした時も、もうレンズ屋に買いに行かず「どうせ今夜また返してもらえるんだから」と片目だけレンズを入れて過ごした。
その晩、レンズを外していると、「カチッ」って音がした。
いつものように洗面台になくしたはずのレンズが落ちる音だった。
「やっぱり!ラッキー!」
そう思ってその落ちてきたレンズを見て、私は凍りついた。
洗面台には確かにいつものようになくしたはずのレンズがあったが、それは真っ二つに折曲がっていて、目に入れることはできない状態だった。
この真っ二つのレンズが落ちてきた事を機に、それまでの不思議な現象はなくなった。
なんとなく、調子に乗りすぎた自分に何者かが怒って愛想を尽かしたような、そんな悲しさを感じた。
あれから5年。
もう引っ越したけど、レンズをなくすことなど一度もない。