あんまり怖くないかも。
小学校低学年の時、近所にきれいな家があった。
小金持ちって感じの。
おしゃれな門構えだから、植木や花を置くんだけど、その家の人間は置くだけで一切手入れをしない。
草花も、結局はただの枯れ草になって、それでも片付けすらしない。
それからいつか、その小金持ちの家が犬を飼い始めた。
気の優しい感じの、吠えないなつっこい柴犬で、可愛いから会いに行ったりした。
でも、やっぱり世話をしていないのか、柴犬に、いつしか私の目でもわかるような、大きな黄色みがかった出来物が、犬のお腹にぶら下がっていた。
小さかった私はその家の人と交流はなく、「こんなにわかりやすい病気なら、すぐ気がついて病院に行ってくれる」と思っていた。
しかし、しばらくすると、その家から犬がいなくなっていた。
私は結構ショックだった。
あの雰囲気からして、犬は死んだんじゃないか?と思っていた。
案の定、犬は二度と現れる事はなかったし、犬小屋など痕跡も一切消されてた・・・。
今もその家はあり、一度家を改装してもっときれいな家になった。
住む人はオサレな職業の人で、生徒さん?らしき人がたくさん通っている。
でも、その家がきれいになればなるほど、あの人懐っこい、痩せてお腹からおできがぶら下がった犬を思い出してしまう。
何か、見栄をはる方向を間違えた人達だと思った。
あんまり怖くないけど、生きてる人間って思ったし、金持ちにの中にはクズもいるってことがわかった。