ミナという気持ち悪女

カテゴリー「不思議体験」

10年前、当時付き合っていた彼女と俺の家にいた時、彼女の携帯が鳴った。
普通に「もしもーし」って出た彼女。
しかし、段々怪訝な表情になってくる。

俺の方見て、首を傾げたり。
「どうした?」って聞いたら、携帯のマイク隠して、「よくわかんないから、替わって」と言ってきた。

俺が?って思ったけど、出てみた。
「もしもし?」って、すると電話の相手が、「あ、替わってくれた!コーイチ君?私ちゃんと電話したよ!良かったー!替わってくれて。女の人出たから、ビックリしちゃった!」とか言ってる。
若い感じの女の子・・・。

でも俺、コーイチって名前じゃないから、「誰にかけました?」って聞いたんだ。
すると相手が「え、コーイチ君でしょ?いつもと同じ声だもんね!ね!」と。
だから、ああ間違い電話か、と思って「違うんで。じゃ」って電話切った。
彼女にも、「間違い電話でしょ」、とか話してた。

そうしたら、携帯がまた鳴った。
番号も同じ・・・。

またかよ、って思ったけど、もう一度説明しようと俺が出た。
以下会話。

俺:「もしもーし」

相手:「何で切っちゃうんですか?」

俺:「いや、俺コーイチじゃないからね。しかも俺の携帯じゃないし」

相手:「え?だって昨日夢で教えてくれたよね?この番号」

俺:「え?夢?いや知らないから(夢って何だおっかねえ)。多分間違いでしょ」

相手:「だって声同じだよ?昨日聞いてから、すぐ番号メモしたんだよ?」

俺:「っていわれても、俺知らねぇから」

相手:「でもコーイチ君から教えてくれたのに・・・」

俺:「だから俺コーイチじゃねぇから!」

相手:「じ、じゃあ、お友達になって下さい!」

・・・え?
友達に、なって下さい??
意味がわからない。

俺:「え?なんて?」

相手:「えーと、コーイチ君が教えてくれた番号にかけたら、あなたが出た。だから、きっとそういうことなんですよ!ね、仲良くして下さい!」

俺:「(ヤバい人だ!この人ヤバい類の人だ!)・・・無理です」

相手:「何でですか?せっかくコーイチ君が教えてくれたのに」

俺:「だからね、俺コーイチ君なんて知らないし、第一、この携帯彼女のだから!!」

そう言って切った。

横で見てた彼女にも、以上のやり取りを教えた。
で、怖いね~で終わった。

それからしばらく、着信の番号を警戒してたけど、何もなかった。
以上が10年前、19歳の頃。

そして一年経って、俺20歳。
友達等から、「いい加減、携帯を持て!」という苦情が多くなってきたので、渋々自分の携帯を持った。
彼女ともまだ続いてて、コーイチ君の話も特に出てこなかった。

そんなある日、ドライブ中に、俺の携帯が鳴り出した。
知らない番号だぁ、とは思ったけど、普通に出た、「もしもーし」、と。
すると、スピーカーから「コーイチ君?」

ででで、出たーーーーーー!!!!

助手席の彼女に口パクで、「コーイチ!コーイチ!」って伝えた。

怖がる彼女。
俺だってビビった。
ビビりながらも、「チガイマス」と伝え、即切った。

「おっかねー!」と彼女と言い合う間も無く、再度鳴り出す携帯。
さっきの番号だ。
怖いから放置!

でも鳴り止まない・・・。

彼女にも、「出てみたら?ってか本当は浮気してんじゃないの?」とか言われるし・・・。

渋々出ましたよ・・・。
以下会話。

俺:「・・・もしもし?」

相手:「やーっと出ましたねーw」

俺:「はぁ。で、何でしょう?」

相手:「コーイチ君がね、また電話番号教えてくれたんです」

俺:「(まただ・・・)何の話ですか?僕名前違いますが」

相手:「でも一度お話しましたよね?」

ゾクっとした。
すげぇ怖かった。

何より、相手の楽しそうな感じが不気味だった。
でも、飲まれたら負けだ!と自分を奮い立たせた。

俺:「えーと、そうだね、俺だね。で、何の用ですか?」

相手:「コーイチ君が、ここにかけてごらんって。夢で・・・」

俺:「そうですか。でも俺にはコーイチ君から何のお知らせも無いんで」

相手:「本当に、コーイチ君からは何も聞いてないんですか?」

俺:「さっきも言ったように、何も知らないから!前回もそうだったけど、大体、コーイチって誰よ?」

相手:「いちも夢で、色々お話してくれる人ですけど」

俺:「そうですか。でも俺の夢には出てこないんで。君も夢でお話してて下さい。俺には何の関係もないんで」

そう伝え、切った。
切ってから彼女に説明。
浮気疑惑は晴れた。
でも怖がってた。

何で電話番号知ってたんだろう・・・。
それは俺も怖いってば。

そんなこんなで、いきなり2年経過。
これまで話に出てた彼女と別れた22歳の俺。
別れてから1年経って、気持ち変える為に、携帯もD社からa社に変えてた。

大学5年生で、就職決まらず焦ってた時期。
単位はほぼ取れてたから、酒屋で配達のバイトばっかりやってた。
そんな毎日。
ある日の夕方、携帯が鳴った。
知らない番号。

一瞬ドキッとした。

またコーイチ女か!?って。

でも、前回の電話以来、コーイチ女の名前で電話帳登録して、拒否リストにも入れてた。
何より、お得意さんからかかってくる事も多かったから、出た。

「もしもしー!」と元気良く。

聞こえてきたのは、スナックママさんの、酒やけした声や、社長のダミ声でもなく「お久しぶりです。覚えてますか?」と。

コーイチ女ー・・・。

あの声だ!
おっかねぇ!

何だろう、怖い話聴いて、胃が上がってくる感覚。
俺だけかも知れないけど、不安なときの気持ち悪さを感じた。
でも勇気振り絞って、「どなたですか?」と聞いてみた。

以下会話。
相手:「あの、覚えてますか?前にもお話したんですが、私です。ミナです」

この時コーイチ女が始めて名乗った。
少し感心した覚えがある。
すこーしだけね。

ちなみに、地元の友人で、ミナって呼ばれてる子は一人いた。
というか今でも仲良し。
だけど、声も全然違うし、頭に浮かびもしなかった。

俺:「ミナさんですか?ちょっと分からないんですが」

ミナ:「わかりませんか?あの、私、コーイチ君にまた教えてもらって」

俺:「わかった・で、何の用?」

ミナ:「えっと、やっぱり、コーイチ君がこの電話番号教えてくれて・・・あの、本当にあなたはコーイチ君じゃないんですか?誰なんですか?本当に何も聞いてませんか?何度もごめんなさい!」

俺:「何度も言ってきたよね、違う。何も知らない。で、前に俺がコーイチじゃないって言った時、君もそれを聞いた上で、友達になって下さいっていったでしょ?」

ミナ:「すみません!でも、本当に教えてくれるんです!電話番号を!」

俺:「大体さ、何回目かわかんないけど、毎回すげー迷惑なんだよね」

ミナ:「3回目です」

俺:「うん、もうやめてもらっていいかな。何、こういうイタズラ電話?他にもかけてるのか知らないけど、絶対他の人も迷惑だよきっと。今も俺、バイト中だしね?」

ミナ:「あ、あなただけですごめんなさい。・・・また、夜にでも電話しちゃってもいいですか?」

俺:「え、何で?」

ミナ:「もっとお話したくて!仲良くなりたいんです私!」

俺:「いや、しないでいいから!」

で、切った。
前回までに比べると、話し方・声が落ち着いた感じがして、成長してるんだな、って思った。
でもやっぱり、必死さとかが怖かった。
仲良くなりたい、って言われても嬉しくなかった。

そんなこんなで、バイトも終わって夜。
やっぱりかかってきた・・・。

出ないで拒否にしようか、とも考えたけど、どうせまた違う番号からかかって来そうな予感したし。
腹括ってでた。

俺:「もしもし?」

ミナ:「あ、ミナですけど、電話しちゃいましたごめんなさい!」

俺:「うん、俺しないでって言ったよね?」

ミナ:「・・・」

俺:「さっきも言ったけど、俺は君と仲良くできない。だから話す事も無い。わかる?」

ミナ:「そんなに何度も言わないで下さい。落ち込みます」

俺:「あ、何かゴメン。まあでもさ、そうなんだよ」

ミナ:「聞いてもらっても良いですか?」

俺:「何?」

ミナ:「私、コーイチ君にはたくさんお話聴いてもらってるんです。家族のこととか、友達のこととか、いつも夢の中で。そしていつもアドバイスしてくれるんです。助けてくれるんです。あなたに初めて電話した時は、珍しくコーイチ君から話しかけてきてくれて、この電話番号にかけてごらんって。だからてっきり現実に会えるんだ!って嬉しくて。でも電話にでたのは女の人だったから、ちょっと不思議でした。そう思ったときにあなたが電話に出てきたんです。声も同じだったんです。だからあなたをコーイチ君だと思った。嬉しかったんですよw」

ミナ:「でも、冷たい反応だから、ちょっとショックでした。2回目に教えてくれた番号も、きっとあなたが出る、って確信してました。そうしてやっぱり電話に出てくれたのがあなたで。コーイチ君はすごいなーって思ってました。でも何も起きなくて、あなたもやっぱり冷たかった。だから次にコーイチ君と夢で会った時に、私、コーイチ君に怒ったんです。もう2度と信じない!って。それからしばらく、本当に夢でも会えなかった。ずーっと後悔してました。誤りたくて。そんな時、昨日の夢に、コーイチ君が出てきてくれて、この人とお話してごらん。仲良くなれたら、僕にも会える。これで最後。そう言って電話番号教えてくれたんです。だからお願いします。一度でいいから、会って、お話して下さい!」

こんな感じのことを凄い力説された。
冷静に。
でもやっぱり心揺れない。
怖いもん。

何、夢って。
誰、コーイチ君。
何で俺の番号教えるのよ。

俺:「わかった。聞いた。でもやっぱり無理」

ミナ:「無理ですか・・・」←すごいがっかり声

俺:「次コーイチ君が番号教えてくれても、かけてこないでね。」

ミナ:「これで最後って言ってたから、きっとしません。ありがとう」

俺:「はいはーい。頑張るんだよー」

で終了。

以上で話は終わりです。
あれから7年。
もう電話はきてません。
今でも知らない番号から電話が来るとビクっとしちゃう。
昔のことだから、会話とか100%再現できてるわけじゃないです。
でも当時の感情とか、ミナさんの口調・内容は結構あってると思う。

以上、長々と失礼しました。
はー、スッキリw

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