おねんねしてもらった

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

引越しして2ヶ月、子供は2歳、可愛い盛り、そろそろ公園デビュー。
服装も完璧、ブランドじゃないし、バックも普通。
ベビーカーも義姉のお下がり。
春の日差しの中におでかけ。

「こんにちは、◯◯裏のマンションの2階に引越しして来ました佐藤です」
子供たちが寄ってきた、砂場で遊んでいたらしく砂だらけ・・。

「どうも~田中です、山田です、よろしく」
「可愛いお子さんね、いくつ・・・」息子は指を全部出した。
2つなのに。

「お名前は・・・」
「りょうです」まだ言えないけど愛想はいい。

「カワイイィ、、おばちゃん!私たちが遊んであげる」と子供たち。
まだ、「おばちゃんじゃないわよ!」と口には出せない。
砂場を見るとお山が出来ている。

「まぁ、大きなお山、みんなが作ったの?」

横にあいた穴にひざまで入ってみんな真っ黒、愛する息子は興味津々。
赤いバケツと黄色いスコップでヨチヨチあるき。

「おいたしたらしかってね?」
「ハァーイ」と可愛い声。
うまくやれそうだわ、「これからもよろしくね」始めのうちはそこにいて・・・。
いつの間にかちょっと離れ、子供たちを横目でみながら田中さん、山田さんのお話。
そしていつの間にか・・・。

話も弾んで夫の事、会社の事、そんな井戸端会議であっという間に時は過ぎた。
ふと、胸に風が通り過ぎた、なぜかハッとなって後ろを振り向いた。
砂場には女の子2人の姿があった。
楽しそうに・・・。

「子供がいない!」慌てて砂場へ駆け寄った。
靴が!
子供の靴がちゃんと揃えておかれていた。

「おばちゃん、りょうくん悪い子だったからおねんねしてもらったの」お山の横の穴はもうなかった。

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