小学6年のときに同じクラスだったN君。
ある日を境に突然クラス全員に「俺が死んだら泣いてくれる?」って毎日聞いて回り始めた。
みんなふざけて「泣くわけない」とか「馬鹿じゃないの?」って笑ってた。
そんな日が続いた二週間後、N君はあまりに突然の交通事故で死んでしまった。
みんな生前のN君の言動を思い出して気味悪がったけれど、クラスメイトの死だったということで全員で通夜に列席することになった。
しかし生徒の中には日頃からN君をからかったり、いじめたりしてたヤツがいて、そいつは結局通夜には列席しなかった。
列席した生徒には全員が悲しみにくれて泣きじゃくる者もいたが、中には明らさまにめんどくさそうな顔をしたり、信じられないことに笑っているヤツまでいた。
その日は何事もなく通夜は終了。
翌日先生とN君とは親友だったI君がN君の机の中身を整理していたら、表紙にタイトルが書かれていない大学ノートが出てきた。
小学生が持つには珍しい大学ノート。
不思議に思った二人がノートを開いてみると・・・そこにはクラスメイト全員の名前が書かれてあって、名前の横にはランダムに「ありがとう」「だいきらい」などと書かれている。
数名の名前の横には「しね」の文字・・・。
不謹慎ながら気持ち悪くなった先生とI君は、このノートのことを二人だけの秘密にして、ノートは先生が処分することになった。
後々考えてみると、クラスメイト全員の名前の横に書かれていた言葉の意味は、N君の通夜で泣いた者には「ありがとう」、泣かなかった者には「だいきらい」、列席しなかった者と笑っていた者には「しね」ということなのだと気付いた。
途端に体中から血の気が引くのを感じた。
そう、先生とノートを見たI君とは、僕のことなんです。