消えた友人

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私には年の離れた兄がおります。
兄が大学の2年生、私が中学1年の時の体験です。

夏、兄が大学の友人と遊園地のプールへ出かけました。
男女合わせて8人。
夕刻、兄から電話が入り「大変な事があったから今日は遅くなるから。」との事でした。

兄が自宅に戻ったのは24時を回った頃でした。
兄の顔はたった1日で非常にやつれた様に見えました。
母が事情を問うと・・・兄は重い口を開きました。

プールの閉園時間間際、さぁ帰ろうかという頃に、1人の友人がいない事に気がついた。
自宅に電話したが帰っていないとの返答。
まさかと思いプールの監視員に水さらいをしてもらったが発見できず。
他7人で彼の自宅を尋ねたのが夜の21時。
彼はまだ家にも戻ってはいなかった・・・・・。
警察に捜索願をし、見つからぬままとりあえず戻ってきた・・・との事だった。

しかし兄はなんとなく妙なものを感じている顔つきだった。
それが気になり私は兄の部屋へと向かった。
兄も私に負けず劣らず霊感が強いのだ。

どうしたのか?と再度尋ねると、「どーも人間の仕業じゃないように感じる。おまえはどう思う?」と・・・・・。

そうなのだ。
私も話を聞いてるときになにやら人間のものではない、禍禍しい意思のようなものを感じたのだ。

翌日、兄は朝一番で彼の自宅へ電話をかけた。
答えはNO・・・。
そうして彼が帰らぬまま1週間が過ぎた。

兄は彼の両親に自分が感じたなにやら不思議な思いを告げに行く事を決意した。
私にもついて来いと言うので朝から2人で彼の自宅へと向かった。
自宅にあげて頂き、兄は彼の母親に”その事”を伝えた。

次の瞬間、彼の母親は嗚咽にも似た声で叫び、床に倒れこんだ。
ふと真剣な顔になった彼の母親は取り憑かれたように部屋から出ていった。
戻ってきた母親の手には1枚の写真が握られていて、それを私と兄に見るようすすめた。

その写真を見た時のなんとも言えない感じは今でも忘れない。

いや、一生忘れられないだろう・・・。

引き伸ばされたそのスナップはどこかの雑誌社の人間が撮ったものらしい。
なんでも夏のプールの様子を取材した時のもので、偶然にもその撮影日は兄が友人たちとプールに行った日と同じであり、撮影現場も兄たちが行ったプールだったのだ。

そのプールには3段階に高さがわかれている高い飛び込み台があった。
写真はその飛び込み台の一番上から『消えた友人』が飛び込む瞬間のものだった。
捜索願を出していた為、彼の写真は警察により保管され聞き込み等に使われていた。
その聞き込み用に使われていた写真を雑誌社の人が見た瞬間、「あっ!この顔は!」と、問題の写真に写っているのは彼だと気がつき、ご両親の元へ持ってきてくれたのだそうだ。

ただ・・・・・、写っているのは彼だけではない。
彼が飛び込んでいる体のその後ろに・・・。
彼の体を抱きかかえる白髪の老婆が写真一面に写っていた・・・。

彼が発見されたという話は10年以上たった今も聞かされてはいない。

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