芸人、ライセンス藤原の話。
当時僕は大阪で芸人をやっていまして。
一人暮らしをするということになって、部屋を探したんです。
一つ良い物件が見つかって、八割型そこにしようかなと思っていたんですけど、もう一軒くらい見てみようかなと思って新しい不動産屋さんに入ったんです。
でも僕にはほぼ決めていたところがあったんで、色々と物件を出してくれるけども、ちょっとワガママになってみようと思ったんです。
藤原:「うーん、ここはちょっとこれが嫌だなぁ」
藤原:「これもちょっと嫌だわ」
そう断り続けたら、不動産屋さんが「じゃあこれが最後ですよ。これはとっておきです」と言って出してきたのが大阪の南、東京で言ったら渋谷みたいなところですかね。
そこのど真ん中でワンルームで十畳で、三万六千円なんです。
すごい安いですよね?
僕らみたいな若手にしたら、もうやったと。
藤原:「良いとこあるじゃないですか。もう僕ここに決めます」
そう言ってすぐに契約したんです。
藤原:「なんでこんなに安いんですか?」
そう不動産屋さんに聞くと、不動産屋さんは「シャワーの出が少し悪いんです」と言っていたんです。
それで住み始めてシャワーに入りますよね。
そうしたら普通にシャワーは出るんですよ。
藤原:『あれ、なんやろ。普通にシャワー出るやん。悪いとこなんかないやん。本当にラッキーなところに住めたわ』
そう思ってその部屋にしばらく住んでいたんです。
で、ある時に寝ていましたら、音が聴こえるんです。
ペラッペラッ・・・って聴こえるんです。
藤原:『あれ、何の音やろ。窓は全部ちゃんと閉めてるしな』
それで音のする方を見たら、雑誌がめくれていっているんです。
藤原:『うわ、何やこれ気持ち悪い』
それで起きて電気を付けて、その日は朝まで過ごしました。
藤原:『あれ何やったんやろ・・・寝ぼけていたんかな』
そう思って次の日も寝る。
それで寝ていたら今度はテレビが付いたんです。
その時は枕の横辺りにリモコンを置いていたんで『あれ、何かリモコンか何かでリモコンを押しちゃったのかな?でもやっぱり気持ち悪いから電気つけて起きとこうかな・・・』と。
それで朝まで起きて、それでまた次の日の晩に寝ますよね。
それで寝ていたら、寝ている頭側のほうがシャワールームなんですけど、急にシャワールームの方で「シャー」という音がして、浴室がオープンになって、ザーッと音がし始めたんです。
流石にその時には『あ、これはいよいよやばいな』と思って電気を付けて朝まで過ごして、これは夜寝るのはまずいと・・・。
で、仕事柄朝方から寝ても大丈夫なんで、朝から寝て、夕方から仕事に行って、夜は起きておこうと思ったんです。
それである時自分がコンパ的なものに行きまして、盛り上がって、「藤原の家近いから飲み明かそうよ」という話になって、四人くらいで僕の家に行ったんです。
そうしたら僕のマンションの前の方まで行った時に一人の女の子が「申し訳ないけどここには入りたくない。
ちょっとこのマンションに入るのは私やめとくわ」っていうんです。
それで僕は心当たりがあったんで「お前霊感あんのか?」って聞いたんです。
そうしたらその女の子は、「私は霊感がすごくあるし、だからこのマンションは何かあるから、絶対に入りたくない」と。
それでその女の子は帰るって言ったんですけど、頼み込んで僕にしたら自分の家の問題ですから、コンパとかそっちのけで「頼むから来てくれ」と、お願いしたんです。
それでその女の子は本当に嫌がっていたんだけど、自分の部屋がある四階まで引っ張って連れて行って「ここなんだけど」と言ってドアを開けたんです。
ドアを開けると狭い部屋ですから、ワンルームが奥まで全部見えるんです。
そしたら女の子が顔を背けて「うわ、嫌や!」と言うんですよ。
「どうした?」って聞いたら、「居てる!!!!」って言うんです。
藤原:「何が居てるの?」
女の子:「女の人が居てる」
藤原:「なんなん、その女の人?」
女の子:「この女の人はあなたのことを彼氏だと勘違いして憑いてきてる。今ここにいる私のことも『誰、その女?』みたいな感じで見てる」
藤原:「何処にその女は居てるんや?」
そう僕が聞きましたら、自分の部屋は四角い部屋で、左下にベッドがあうんですね。
それでベッドからでもテレビが見やすいように斜め右奥の角にラックを置いて、そのラックに斜めにテレビを置いていたんです。
そのラックと壁の間の三角形の隙間のところに女が立っていると。
藤原:「なんでそんなところに立ってんの?」
女の子:「そこに立っていたら、あなたはテレビを一人暮らしでよく見るから、一番良く自分を見てくれるから」
藤原:「それあかんわ・・・。俺もう引っ越すわ」
もう早急に手続きをして出ようということで引っ越しの準備をしたんです。
で、管理人のおばちゃんと仲が良かったんで「おばちゃん俺ここ出るわ。気持ち悪いわここ」っていったら、その管理人のおばちゃんが「あんた知らんかったんか。このマンション二人自殺してるねんで。一人は飛び降り自殺で、あんたのベランダのところにバンってぶつかって亡くなってんで」と。
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