石川県のとある温泉旅館に行った二人のOLの話です。
二人はまだ宿を決めていなかったので最寄り駅で見つけた温泉旅館のチラシをみて予約をした。
ちなみにそのチラシはみすぼらしくすり切れた藁半紙に印刷されていた。
幸い空き室があるということで、二人はその宿の世話になることにし、二人は少し離れた目的地まで歩いていくことにした。
しかし、途中で荷物の重たさと予想以上の距離にタクシー代をケチったことを後悔していた。
そんなこんなで二人はようやく宿に到着。
贅沢ではないが、こじんまりとしたいい感じの秘境といった感じだった。
部屋に通された二人はひと休みし、まだ夕食まで時間があるのでA子は露天風呂に、B子は町にお菓子などの買い出しに行くことにしたが、A子が露天風呂へ行くために庭先を歩いていると、誰かに見られている気がした。
ふと脇の小屋を見ると白髪の老婆が窓格子からA子を食い入るように見つめていて、A子は気味が悪かったが、さほど気にせず温泉へと向かった。
B子は買い出しを済ませ宿へと向かう途中だった。
先刻のこともありB子はタクシーで戻ることに。
B子は車に乗り込み運転手に行き先を告げた。
が、運転手の反応は意外なモノだった。
運転手:「え?あんなとこに旅館なんてないよ。」
そんなはずはない。
自分たちはそこに泊まってるのだからと説明し、とりあえずそこに向かってもらうことにした。
目的地付近へはすぐ着いた。
しかしそれらしき旅館は全く見あたらない・・・。
あるのは鬱蒼とした茂みの中の疲れ切った小屋だけだった。
他に考えられるモノがないということで、気味が悪いが,A子を見つけなければならないのでB子は中へと入って行った。
タクシーの運転手は何かあったときの為に一応待っていてあげると言ってくれた。
中は二人がチェックインしたときとはうってかわって、そこは廃墟だった。
二人の部屋らしき部屋に入ると荷物はきちんと整理されていた。
その時背後でドアが開いた。
B子が振り向くとそこには白髪の老婆が立っていた。
老婆:「お食事の準備ができてます。お連れ様はもう食堂に来られてますよ」
B子は老婆に導かれ食堂へ向かった。
そこにはお膳を前に正座をしているA子ともう一人、白髪の老婆が座っていた。
B子は一刻も早くA子を連れてここを出たかった。
B子はA子の横に座り、「早く帰ろう」と促した。
がA子は反応しなかった・・・。
不思議に思ったB子はA子の肩を押すと・・・A子は力無く崩れ落ちた。
・・・死んでいた。
B子は対面する老婆に「死んでる。早く救急車を呼んで」と言うと、するとその二人の老婆は言った。
「次はお前の番だよ。」
B子は一目散に駆け出した!
必死に走りタクシーの待つ方へと走り、運転手もそれに気づきエンジンをかけた!
その時、B子には運転手の真っ青な顔が見えたが、とにかくB子は車に飛び乗った。
助かった・・・。
車は猛スピードで駆け抜け、運転手は言った。
運転手:「何があったかは知らないけど、あんたの後ろからものすごいスピードで人魂が二つ追いかけてきてたよ。」