夏の日の出来ごと。
母と居間でくつろいでいると、ちょうど川から父が帰ってきた。
障子を開けて入るなりいきなり父が「今日はイヤなもん見ちゃったょ・・・」と。
すると、ほとんど同時に父を見た瞬間、母が「何連れてきてるん!」と、言ったので見ると、父の後ろに作業着を着た顔が黒いおっちゃんが項垂れるようにして立っていた。
母:「早く家から出て!」
するべき事が解って、私は急いで台所から塩を持ってくると玄関に走り「うわー」とか言いながら父にベシベシ塩を投げまくった。
暫くすると後ろのおっちゃんはいつのまにか消えていた。
落ち着いて父から話を聞くと川で水死体を見たらしかった。
数日前から台風の影響で増水し、川上から猪など流れてくる事もあったので、はじめ豚かと思って腐乱臭に近づくと・・・うつ伏せに岸に顔を埋め引っ掛かっていたのだそうだ。
毎日そこで鯉釣りに来る常連の爺様たちも気付いていたはずなのに通報もせずスルーして、その死体は夏の日差しの中放置されることになり、やっと見付けてくれた父に知らせて欲しくてついてきてしまったらしかった。
ちなみに川上で作業中に行方不明になった一人で捜索の最中だった。
実体験の一つでした。