
俺が学生の頃に中古車屋でバイトをしていた時の話。
今から20年近く前なのでオークションなんて無くて、知り合いの同業者から売れそうな車を買ってきて、自分のところで売ろうと車を仕入れてきた店長。
その車を先方の店に取りに行った時に、やたらと車検が残っている。
走行距離も少ない。
程度もいい。
その当時無茶苦茶人気のあった車種なのにやたらと安い。
おかしいな・・・と思いつつ自分の店までドライブした。
真夏なのに「なんかエアコンの効く車だなあ。流石高級車!!」なんて感じで涼しかった。
道中なんかお香のような匂いがしたが、車用のコロンと思っていたので気にならず。
自分のバイト先に戻ってきた時、事務の女の子(霊感アリ)がこっちを見て真っ青な顔をしている。
猛ダッシュでこっちにきて、いきなり塩をまかれた。
それも土俵入りのような勢いで。
そして絶叫して「OOさん、乗ってきた車どこからもってきたの!」
俺:「いや、普通に社長の買ってきた車だけど・・・・」
事務の女の子:「助手席に青白い顔の女が乗っていて、いまにも憑りつきそう!さっさと出て!!」
車から出るとどっと疲れが出た。
ありえないくらい疲れていた。
また俺に塩をまいた。
恐ろしくなって振り向くと、彼女が車に向かって土俵入りをしていた。
俺は怖くなって、その日はとっとと帰った。
翌日恐る恐るグローブボックスを開けると、そこには線香が入っていて、助手席の下には、花がドライフラワーになっていた。