もう死んだだろうなぁ

カテゴリー「心霊・幽霊」

これは昔、俺が予備校行ってた頃の教師から聞いた話。

まだ急行銀河が20系客車で運用されてた頃、東京の実家に帰省していたその教師は、銀河で京都の大学に帰ろうとしていたら、たまたま高校時代の友人Aと出会った。
Aも神戸の大学に通っていて東京の実家に帰省していたんだが、同じように銀河で帰ろうとしていたタイミングだった。

久しぶりの再会でテンションが上がった二人は、キオスクで酒を買ってから銀河に乗り込んだ。
しかし11時半だったか12時頃だったかになると消灯。
その教師は鉄オタだったため、緩急車の車掌室に入り込もうとすれば入れることを知っていたらしい。

そこでAを誘って車掌室に忍び込み窓を開け、涼みながら酒盛りをしていると、静岡駅を出ていくつめかのトンネルに入ったとき笑い声が聞こえてきた。
それも笑い声が付いて来るんだと。
それはトンネルを出るまで付いてきた。

二人は顔を見合わせ、今のは何だったんだ?と話し合ったが、多分気のせいだろうと思ったが、やはり気味が悪かったためさっさと寝台に戻り寝ることにした。

『まもなく京都に着きます』とうアナウンスで起きた教師だったが、なぜかかなりの高熱を出していた。
洗面所で自分の顔を見てみると、顔は真っ赤で汗をダラダラと流していた。

最初は、昨日夜風に当たりながら酒を飲んでいたからこうなってしまったかと思ったそうだ。
Aはまだ寝台から出てきてなかったので覗いてみると、Aも同じように熱を出していた。
しかも自力で起き上がることが出来ないほどに・・・。

これはまずいと教師は車掌に事情を話し、大阪に着いたらAを列車から降ろすのを手伝ってやってほしいと頼み、自分は京都で降りた。
速く家に帰りたかったのでタクシーでさっさと家に帰ることにした。

解熱剤を飲んで寝ていればすぐに治るだろうと思っていたが、一日中寝ていても一向に熱は下がらない。
次の日、病院に行って抗生物質を貰って飲んでもやっぱり下がらない。
その日も一日中寝て過ごすことになった。

その夜、変な音で目が覚めた。
まるで近くで道路工事でもやってるかのような騒音だった。
そのあまりのうるささに起きたが、何か道路工事のそれとは違う事に気づいた。
それはどう聞いても、自分の部屋から聞こえていたからだ。
怖くなって布団を被って無理に寝ようとすると、その音は聞こえなくなった。
ホッとしていると、今度は部屋の中に人の気配がし始めた。
その教師は霊感があった為すぐに分かったとか。
しかもそれは一人や二人じゃなく何人もの気配だったそうだ。

これはやばいと塩を持って外に待避し、自分に塩をぶっかけまくりながらお経を唱えていると、30分ぐらいした頃から体が楽になり始めた。
家の中に入っても、もう人の気配もせずそのまま寝た。

次の日、起きてみると熱は完全に下がっていた。
そういえばと、Aはどうなったのかと気になり始めた。

Aの下宿先に電話してみると、まだ帰って来ていないと言われた。
不思議に思いながら、今度はありえないだろうと思いつつ一応Aの実家の方にも電話を掛けてみた。
するとその頃Aの実家はAが行方不明になったと大騒ぎをしており、これから警察に届け出るとの旨であった。

それから教師も警察に呼ばれ事情聴取を受けたりした。
車掌の話によると、教師に頼まれていたので茨木あたりでAの様子を見に行ってみると、既にその寝台に居なかった。
その後警察は捜査したものの、結局Aは見つからず、現在に至るそうだ。

この話聞いたのずいぶん前だから所々細かい間違いはあると思うけど、大体こんな感じ。
もうAは死んだだろうなぁと、しみじみ語っておられたな。

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